前指揮官に贈る。広島長野久義外野手(34)がキャンプ2日目に早くも「今年1号」を放った。2日続けて鈴木と並んだランチ特打で、打撃投手を務めた迎打撃コーチの35球目を左翼フェンス先の芝生まで運んだ。さらに最後の44球目も同じ左翼へ。視察した高橋前巨人監督を前に自己流調整も力が入ったか、異例の早さでの2発で健在をアピールした。

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わずか1日で打球の力強さが明らかに変わった。早くも長野に「広島1号」が飛び出した。迎打撃コーチを相手にしたランチ特打。前日は中堅から右方向を意識した打撃を徹底していたが、この日は左方向にも強い打球を打ち返した。35球目を捉えた打球は、左翼フェンスを越えて芝生へ着弾。ウオーミングアップのティー打撃も含め、キャンプインから245スイング目での初弾となった。さらに最後の44球目も、左翼フェンス越えの1発で締めた。

ギアが急に上がったのは、高橋巨人前監督の姿があったからかもしれない。15年までチームメート、昨年までは監督と選手としてともに戦った。高橋氏は赤い長野に「不思議な感じもしながら、そんなに違和感を感じない部分もあった」と優しい笑顔を見せつつエールも送った。「入ってきたときから彼の能力の高さを感じていた。今でもそう思っている。ここ数年の数字は彼本来の力からすると物足りないと思う。まだまだできる年ですから個人的には頑張ってほしいと思っている」。

新天地の広島松田球団オーナーも見守っていた。最後の一打は、オーナーに向かって頭を下げた直後の、まさに“あいさつ代わりの1発”だった。また、長野フィーバーで今キャンプ初の週末に、昨春キャンプ初の週末よりも2000人多い6500人もスタンドに詰めかけていた。午前中のベースランニングでは一塁ベースを回り込むところを誤って駆け抜けてしまい、笑いを誘った。1人やり直す姿に拍手へと変わり、長野も右手を上げてファンに応えた。この日もファンにサインして球場を後にした長野は、高橋氏の視察に「しっかりと調整して、元気な姿を見せられるように頑張ります」と誓いを口にした。【前原淳】