中日松坂大輔投手(38)が5日、グリーンカード(米国永住権)取得のため、自宅のある米国に一時渡航した。キャンプイン直後に突然、米国から案内が来たという。手続きが終わり次第戻るため、7日からの第2クール中には沖縄・北谷キャンプに再合流する見通し。だが、与田剛監督(53)は「プラスにはならない」と調整への影響を否定せず。開幕まで時間はあるが、当初のスケジュールがずれ込むのは必至だ。

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松坂はキャンプ地沖縄を人知れず離れ、この日に米国に向けて飛び立った。

本人も球団も予想外のタイミングだった。キャンプイン直後に米移民局から永住権取得のための手続き日を指定された。昨年から申請していたが日時は選べない。キャンプ序盤で、6日の休日も挟む日程になったのは、むしろ幸運だったのかもしれない。

突然の報告に、与田監督の胸の内は複雑だった。「この日じゃないと取らせないとか難しい話があると聞いた。言われた通りにやらせてあげるしかない」。状況は十分理解している。ただ、4~5日の予定とはいえ、主力選手のキャンプ離脱にはやはり現場責任者として不安がつきまとう。

「決してプラスになる話じゃないですよね。(ずっと)練習をやってきて、時差もあって。現実問題、乗り切っていかないといけない。帰ってきてから当然(遅れた分を)やらないとという会話もした。そこは任せるしかないですね」

昨年、中日で復活の6勝を挙げた松坂。右肩の心配もない今年は、週1回投げるローテーション投手としての期待を受け、独自調整を任されている。ブルペン入りもまだ当分先の予定だった。現段階に限ると離脱の影響は少ないが、与田監督によると、沖縄での実戦登板は白紙になった。冬の寒さが残る名古屋に戻ってからの初登板となると、スケジュールが大幅にずれ込んでいく可能性がある。

指揮官は冷静にこう言った。「1日でも早く(試合で)見たいという希望はあるけど、143試合という中での勝負だから。我々があわてさせないようにしてあげたい」。場合によっては、開幕に間に合わないことも想定している様子。キャンプでは根尾と並んで主役を張っていた松坂。これからは違う意味で注目を浴びることになる。【柏原誠】

 

<松坂の昨季キャンプ>

▼1月下旬 入団テストを受け合格。沖縄での先乗り自主トレに参加。森監督からは調整ペースを任された。

▼2月1日 背番号99を初披露。松坂を含む球団グッズの売り上げは午前中2時間だけで100万円を突破。

▼2日 捕手を立たせ32球、キャンプ初のブルペン投球。

▼3日 ランチ特打で柵越え2本。

▼5日 2度目のブルペンで捕手を座らせ、変化球もすべて投じる。

▼7日 3度目のブルペンで最多の66球。9日にも77球。

▼15日 6日ぶりにブルペン入りし約60球投げた。

▼21日 初の打撃投手。福田と京田に対し45球。それぞれ1本の柵越えは許したが、29スイングで安打性は5本。最速141キロ。

▼26日 韓国・ハンファとの練習試合に志願して移籍後初の実戦登板。1イニングを無安打2奪三振。