衝撃のデビューだ! 阪神の新助っ人ジェフリー・マルテ内野手(27=エンゼルス)が11日、沖縄・宜野座キャンプの紅白戦に「5番一塁」で出場し、来日初打席で初アーチを描いた。2打席目にはフルカウントまで粘ってタイムリー。観戦した背番号31の先輩、ミスタータイガース掛布雅之オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザー(SEA、63)も評価した。メジャー30発砲が幸先のいいスタートを切った。

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宜野座の青空へ、ふわりと白球が浮いた。弧の高いアーチは左翼芝生席まで伸びた。虎を救うため海を渡ってきたマルテは着弾を見届け、ゆったりとダイヤモンドを回りながら白い歯をキラリと光らせた。

「ゾーンに来た球をしっかりと捉えられた。状態はいい。だんだんと自分の打撃の準備ができてきた。(日本でも)成功するために、これを続けていきたい」

1回2死三塁で迎えた初打席。昨季7勝の白組先発の小野がカウント3-1から投じた真ん中の138キロ直球を引っ張った。いきなり飛び出した“来日1号”にも「試合も練習も、本塁打を狙っていない。ゾーンにきたところを自分のコンタクトで」とあっさりだ。

パワーだけでない。2回2死一、二塁の第2打席では、初球の141キロ直球を見逃した後にカーブに反応して三塁線へファウル。ここから4球続いた変化球を見極め、最後はフルカウントから8球目の外角140キロ直球をはじき返し、中前適時打にした。初体験となる日本野球の配球にも「1年目なので勉強しながら。文化や練習方法は違うが、野球は野球で同じと心掛けている」と冷静。コンパクトなスイングで対応する技巧派の一面を兼ね備えていた。

新助っ人は、こだわりも深い。「いろんなバットを試さないと、試合では使えないので」と本塁打後の第2打席は異なったバットだった。試合開始4時間ほど前に宿舎ホテルを出発したバスの中から左肘にエルボーガードを着用。新しい道具のなじみ具合を確認しながら初実戦に臨むきめ細かさもあった。

観戦した掛布SEAは「本塁打よりも、(第2打席で)抜けたカーブに反応できた対応力、振りにいけたことを評価したい」と背番号31を背負う助っ人を褒めた。マルテは「日本で名前を残しているすごい選手。31番の後継者としてサポートしていただいて感謝している」とエールを喜んだ。

昨季の阪神は最下位に沈んだ。「勝ち星がいっぱいつくように自分も貢献していきたい」。シーズンに向けて最善の準備を行うマルテが、ベールを脱いだ。【真柴健】

◆ジェフリー・マルテ(Jefry Marte)1991年6月21日、ドミニカ共和国生まれ。07年にメッツと契約しプロ入り。15年7月にタイガースでメジャーデビュー。16年からエンゼルスでプレーし、メジャー通算256試合で打率2割2分2厘、30本塁打、91打点。メジャーでは一塁、三塁、左翼を守った。185センチ、99キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1億1000万円。

▽DeNA東野スコアラー (打球が)上がったかなと思ったけど、思ったより飛距離もありました。

<阪神近年の外国人野手初実戦>

◆マートン=10年2月13日、練習試合日本ハム戦 チーム初実戦に1番中堅で先発出場。3打数無安打、不慣れな中堅守備ではもたつくシーンも。

◆コンラッド=13年2月10日、練習試合日本ハム戦 6番DHで出場し、第1打席で右前打を放つなど2打数1安打。

◆ゴメス=14年3月15日、教育リーグ中日戦 生まれた長女の体調不良で来日が遅れ、自身も来日後に右足張りで実戦デビューが延びた。3番DHで先発出場。初回に中前打を放ち周囲をホッとさせた。

◆ヘイグ=16年2月11日、紅白戦 5番三塁で3打数2安打と結果を残したが、その後左脇腹を痛め離脱。対外試合初出場は3月初旬まで遅れた。

◆ロサリオ=18年2月11日、練習試合DeNA戦 4番DHで先発し、初回の初打席に初球を左中間へ本塁打。2打席目も初球を中前適時打と、期待は大きく膨らんだ。