楽天がヤクルトを8-3で下し、オープン戦2連勝を飾った。先発の美馬学投手(32)が2回を投げ被安打0、無失点と好投した。昨季わずか2勝に終わり、8月には右肘のクリーニング手術を受けた。17年には開幕投手を務めた右腕が、完全復活を目指し力強い1歩を踏み出した。

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美馬が久々の実戦マウンドを堪能した。初回を打者3人、わずか8球で抑え込むと、2回も12球。打者3人で斬って取った。打者6人の“完全投球”を果たした右腕は、充実の表情を浮かべて言った。

美馬 すごく幸せ。まだオープン戦ですが、1軍のマウンドに「戻ってきたな」という気持ちです。

最速は141キロにとどまったが、常にストライクを先行させ、自分優位に組み立てた。1回1死ではヤクルト2番青木から空振り三振を奪い、3番山田哲を左飛に仕留めた。2回無死ではバレンティンを三ゴロ。ヤクルトの誇る強力上位打線を封じてみせた。

一昨年は開幕投手を務め11勝を挙げたが、昨季はわずか2勝に終わった。さらに、シーズン中の8月には右肘のクリーニング手術を行っている。不安を抱えて新年を迎えたが、経過は良好で、今キャンプでも打撃投手を務めながら、きっちりと調整してきた。登板前は「不安もあった」と言うが、終わってみればほぼ満点の内容。「とにかく打者との間合い。打者に対して“普通に”投げられたのはよかった」と胸をなで下ろした。

美馬の好投に平石監督も満足の表情で「内容がよかったね。テンポもいいし(スピード)ガンよりも球のキレがあった。開幕ローテに1歩、前進したんじゃないかな」と評価した。絶対的エース則本昂、実績十分の岸はすでに当確だが、他は横一線の状況。復活ロードを歩み始めた美馬が、開幕ローテをつかみに行く。【鈴木正章】