2年連続開幕投手が決まっているソフトバンク千賀滉大投手(26)が、阪神とのオープン戦(ヤフオクドーム)に先発し、自己最速を1キロ更新する158キロを計測した。

フォークボールに頼らない投球スタイルで3回、37球、2安打無失点。試合前には昨季限りで引退した摂津正元投手の引退セレモニーが行われた。5年連続開幕投手を務めた元エースの前で、大役への思いを高める投球だった。

千賀がリニューアルしたヤフオクドームの初戦で、いきなり自己最速を更新した。初回、先頭鳥谷の6球目のファウルと3番北條の5球目の低めボールで2度、新しいビジョンに「158キロ」の文字を表示させた。「よくはなかったが、それくらい(球速が)出るかなと思っていた。この投げ方で出るのかと。腕で投げている部分が強い」。投球フォームに納得はしていないが、球速が出る予感を持ってのマウンドだった。

この日はツーシームは使わず、決め球の「お化けフォーク」も3球しか使わなかった。スライダー、カットボールを丁寧に投げた。「ちょっと抑えないとケガをすると思う。こっち(ヤフオクドーム)に来て力んだ。もう少し。まだまだだと思う」。昨年はオープン戦最終登板で右腕が張り、開幕から2試合を投げて1度離脱した。それだけに、飛ばしすぎないようにキャンプから気をつけてきた。

試合前には昨季限りで引退した摂津正氏の引退セレモニーが行われた。先発の千賀は直接見られなかったが、5年連続で開幕投手を務めた元エースのすごさを改めて実感した。「5年って相当すごいこと。ちゃんとチームを代表する選手として立ち居振る舞い、そういうのを気にしてやってみようと思うからすごいと思う」。

昨年の開幕前と違い、千賀には責任感があふれている。「やらなくちゃいけない。(後の世代に)つないでいかないといけない」。球場からの帰り際、駐車場で摂津氏とバッタリ会った。車の窓を開けた元エースからの「頑張って」という短い言葉を胸に、エースへの思いをさらに強くした。【石橋隆雄】