オープン戦で快進撃を続ける広島ドラフト1位の小園海斗内野手(18=報徳学園)の開幕1軍について11日、高信二ヘッドコーチ(51)があくまで私見としながら「ゼロではない」と注目発言した。開幕前にファームに送り、将来の正遊撃手としてじっくり育てるのが基本方針だが、新たな選択肢が出てきた模様。実現すれば、球団の高卒新人では00年苫米地鉄人以来の開幕1軍となる。

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高ヘッドは小園の開幕1軍について「絞っていく段階で残れるんじゃないかと。ゼロではない。選択肢の1つ。ここにきていろんな選択肢が出てきている」と話した。あくまで個人的見解とし、首脳陣の間で話し合ってはいないとしたが、開幕前に2軍に送る当初のプランを見直す可能性が出てきたようだ。

戦力的な意味合いもあるが、公式戦の雰囲気を味わわせる狙いもあるようだ。先発投手は登板まで出場選手登録する必要がなく、2戦目以降の先発の枠を野手に回せる。そこに小園をはめるというもの。あくまで田中広の控えだが、たとえ2、3試合であっても1軍の公式戦を経験できれば大きな財産になる。代打、代走などで出場するチャンスもある。

小園はここまで、首脳陣の想定を上回る快進撃を見せてきた。宮崎・日南キャンプから走攻守に非凡な才能を発揮。ついに宮崎・日南から沖縄キャンプまで全日程を1軍で完走した。猛アピールは対外試合に突入しても続いた。2月21日の阪神戦(宜野座)では、遊撃守備で難しい併殺を完成。3月3日の西武戦(長崎)では、13年の日本ハム大谷以来となるオープン戦高卒新人弾を放った。同7日の社会人選抜「オール広島」戦を加え、実戦6戦連続で安打を記録した。

小園はこの日の投内連係で、サインプレーの際の遊撃からのサインの出し方を何度も指導された。要求が高くなるのは期待の表れ。「(1軍に)残りたいですがレベルに達していない。ここ数日で成長できることもあると思うんで、先輩たちのいいところを見て学びたい」。控えめに話したが、このまま結果を出し続ければ開幕1軍が現実味を帯びてくる。【村野森】

▼広島の高卒新人選手による開幕1軍メンバー入りは、平成(89年)以降では00年の苫米地鉄人投手のみ。野手では1人もいない。12球団での高卒新人の開幕1軍は、直近では16年オコエ瑠偉外野手(楽天)。セ・リーグでは13年藤浪晋太郎投手(阪神)。セの野手に限ると、12年高橋周平内野手(中日)が最後。

◆小園のここまで

2・1 練習前の自己紹介で上本からダメ出し。その上本に「田中選手からショートのポジションを奪えるように頑張ります!」と、勝手に大声で言い直され苦笑い。

2・3 緒方監督から第1クールの収穫として名前を挙げられる。

2・14 高校の卒業式に参加するため日南キャンプ打ち上げ後に離脱していたが、沖縄キャンプ合流。シート打撃で鋭い打球。

2・21 阪神戦で難しい併殺を完成。緒方監督は「ビッグプレー」と称賛。

2・26 1軍キャンプ完走。緒方監督は「他の選手と比べても見劣りしないので1軍の場で経験を積んでいってもらいたい」。

3・3 西武戦で武隈からプロ1号。13年日本ハム大谷以来の高卒新人弾。

3・7 社会人選抜「オール広島」戦に1番遊撃で先発。3打席目に安打を放ち、実戦6試合連続安打。