19年版・東大式勝利の方程式が見えてきた。東京6大学リーグの東大は16日、日体大とオープン戦(健志台野球場)を行い、3-3の同点だった。ここまでA軍(1軍)は3戦全敗。今年初勝利こそ逃したが、首都大学リーグの実力校に引き分けた。4月13日のリーグ戦開幕に向け浜田一志監督(54)には戦略がある。

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(小林大)×5+(宮本)×1+(奥野)×1+X×1+Y×1=白星

浜田監督は「いい経験をさせてもらった」とうなずいた。先発は左腕エース小林大雅投手(4年)。2回にソロと味方の失策で2点先制を許すも、追加点は与えない。すると、4回に味方打線がつながる。打者9人3安打3得点で逆転。小林大は4回、5回を0に抑えた。このまま逃げ切り…では、なかった。浜田監督がベンチを出た。ここからが、東大式の始まりだ。

6回から宮本直輝投手(4年)坂口友洋投手(4年)柳川貴宏投手(2年)奥野雄介投手(2年)と、右腕4人を1イニングずつ突っ込んだ。7回に坂口が追い付かれたが、3人は無失点。浜田監督は「小林を前に持っていき、1人1ニングずつ腕を振って勝ちを取りにいく」と力説した。

リーグ戦を見据える。2戦先勝の勝ち点制。理想は完投できる先発が2人。だが、現状を受け止めた指揮官は「小林の打ち取るパターンが3種類あれば3回り、4種類なら4回りいける。ただ(開幕は)法大の高いレベルの打者が相手」と2回り、5~6回を託す。

昨年の反省がある。小林大、有坂(昨季で引退)と先発は2人いたが「1イニングを投げられる投手を育てられなかった」。結果、春秋あわせ1分けを挟む10連敗。「今年は、こういうチーム方針」と打ち出した。小林大は「1試合を投げきれば複数勝つのは難しくなる」と、5イニングずつ先発3連投も辞さない。

冒頭の方程式に戻ろう。小林大だけでは白星に届かない。浜田監督は「後ろの投手が何人いるか。4人、欲しい」。めどがついたリリーフは宮本、奥野の2人。第4(X)第5(Y)の投手が見つからず「0」となれば、等号は成立しない。奥野は「1イニングと言われているので、初球から思い切りいける。他大学より力がない現状でも、抑える可能性がある」と言った。オープン戦は残り12試合。XとYを見つける作業が続く。【古川真弥】