3年連続日本一を狙う今季の開幕を前に、ソフトバンクを徹底チェック! 日刊スポーツ評論家の浜名千広氏(49)が、ソフトバンクの課題と、他球団との比較を語る「浜名論」を2回にわたってお届けする。第1回はチームのかかえる不安材料。打線では中村晃の離脱でチーム内の競争が「緩み」、豊富にいるようで整備されないまま開幕を迎える投手陣に迫る。【取材・構成=浦田由紀夫】

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キャンプから好調を維持し、今年は大きな飛躍が期待されていた中村晃が、右脇腹の故障に続き、自律神経失調症による体調不良で離脱。浜名氏は、1人マイナスだけに終わらない、チームへの影響は大きいと分析する。

浜名氏 中村晃がいないのは、何より痛い。個人的には今季の打線では松田宣と内川がカギを握ると思っていた。外国人枠の問題はあるが、グラシアルとの3人で2つのポジションを争うようなイメージで、ベテランにも自然に気合が入って、チーム全体がいい方向にいくと思っていた。

一塁内川、三塁松田宣、どちらも守れるグラシアル。さらに中村晃も一塁に入ることも考えれば、いろんな組み合わせが考えられた。当然、好調な選手が優先され、打線に厚みが増す。ベテランをうまく起用できる一番の方法であった。

浜名氏 内川、松田宣をフルで使わないといけなくなる。しかし、1年通して同じペースで好調を維持するのは難しい年齢にきているという現実がある。さらに外国人枠の関係で、グラシアルがベンチに入れないとなれば、なおさらだ。言い方は良くないかもしれないが、ベテラン安泰のムードで開幕を迎えるのは、あまり歓迎できない。

投手陣に目を向けると、オープン戦終盤まで開幕ローテーションが確定している選手が少なかった。これは例年にはないことだ。

浜名氏 ここ2年くらいはキャンプの時点で先発の4人は決まっていて、オープン戦で5、6番目を決めるようなペースだった。昨年の場合はシーズンでも調子が上がらず、中継ぎに頼らざるを得なくなって2位に甘んじた。今年はさらに先発に不安が残る。オープン戦終了まで開幕ローテーションが確定しなかった。また中継ぎに頼らないといけないが、この中継ぎも昨年のような盤石なメンバーというわけではない。

加治屋、石川が出遅れ、岩崎も復帰できない。サファテは期限を設けず2軍で調整することになった。ただ1人、昨年の守護神・森だけが万全なだけである。

浜名氏 森がいなかったら大変なことになっていると思う。彼のタフさは半端ない。今季は先発も中継ぎも、いそうでいない。実はチームは不安いっぱいの中、シーズンを迎えることになる。