楽天の「つなぎの4番」島内宏明外野手(29)が、今季初2ケタ得点での5連勝を呼び込んだ。

1回は四球を選んで追加点につなげ、6回には適時打でビッグイニングの歯車を回した。本拠地開幕3連戦3連勝は球団史上初。昨季69試合を戦い、20勝49敗と大きく負け越した杜(もり)の都で勢いを加速させた。

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得点が生まれた2イニングとも、島内が絡んでいた。1点を先制した1回は1死二塁から日本ハム斎藤のフォークを冷静に見極めて四球。銀次の打席ではワンバウンドの変化球を鶴岡がわずかにはじいた瞬間を見逃さず、二塁を陥れて2点打につなげた。一挙8得点の6回は2死三塁から一、二塁間への当たりに俊足を飛ばして適時内野安打。さらに銀次の二塁打で再び追加点となる生還を果たした。

大砲タイプではないが、3番浅村の後ろを打つ重責を担いつつ、5番ウィーラーと6番銀次の絶好調コンビにチャンスで回す役割を全う。チームトップの6四球が光る。「出塁率4割が目標。1発ももちろん打ちたいけど、最悪でもそこ(出塁率)は4割。後ろの打者がしっかりしているから、つなげば何とかなる」。前日3日も、8回2死から四球を選び、ウィーラーの逆転2ランを呼び込んだ。

打率3割3分3厘をマークするバット。グリップ部分だけが常にきれいになっている。「ロッカーとかかなり汚いけど、バットだけは神経質です」。練習も試合も、必ずアルコール除菌シートで丁寧にふいてから使う。滑り止めスプレーとスイング時の摩擦で付着した手袋の繊維が膜のように張り付き、握った感触にミリ単位の誤差が生まれるのを嫌っての習慣だという。

オープン戦では適時打に「『4番は無理』打法」と名付け、開幕後も「何で自分なのか…拷問としか思えない」と笑ったこともある。この日も「4番は外してほしいんですけどね…」と苦笑交じりに念押し。平石監督の信頼は厚く、好調なチームで打線の潤滑油となっているだけに、希望がかなう見込みは当面薄そうだ。【亀山泰宏】

◆つなぎの4番 05年ロッテ・サブロー、09年日本ハム高橋信が「つなぎの4番」としてリーグ優勝に貢献。10年日本ハム小谷野は本塁打数は16本とリーグ13位タイながら、109打点で打点王に輝いた。09年WBCで連覇を達成した侍ジャパンでも稲葉が4番としてチーム打撃を貫いた。