楽天平石洋介監督(38)が、攻めの采配で引き分けに持ち込んだ。3点を追う9回1死から途中出場の捕手足立に代打藤田を送り、藤田が右前打で出塁。

ここから打線がつながり、同点に追いついた。1軍登録の捕手はスタメンの嶋と足立の2人のみ。裏の守りからは、1軍の公式戦で初めて銀次にマスクをかぶらせた。「失敗したら、こっちの責任だから」と主将を送り出す前から準備は進めてきた。

銀次が捕手から内野手に転向したのが09年秋。現役時代は「捕手銀次」とも一緒にプレーしており、「銀次のキャッチャーは、よく見ていましたよ」と振り返る。その上で「投手との兼ね合いで野手を削らないといけない可能性もある。やるなら銀次か(高校時代に捕手だった)内田と思っていた。キャンプの早い段階から想定して、本人に伝えていた」。3月中旬、遠征先の静岡ではブルペンで投手のボールを受けさせた。

4点を追う7回、先頭の嶋に迷いなく代打オコエをコールできたのも、有事に備えてきたからこそ。オコエは三振に倒れたが「何か刺激を与えたかった」という思いは、チームに伝染した。「本当にみんながよくやってくれた。勝ち以上の引き分けじゃないですか」と選手をたたえた。