巨人クリスチャン・ビヤヌエバ内野手(27)が、待望の来日1号を放った。1点を追う2回、中日先発の大野雄から左翼席へと運ぶ貴重な同点弾。1点リードの9回にはダメ押しの2号も飛び出し、1試合2発。広いナゴヤドームで持ち味のパワーを発揮した。チームは新助っ人のバットで息を吹き返し、連敗を2で止めた。

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打球が痛々しい悲鳴をあげた。ビヤヌエバが豪快にバットをブン回した。1点を追う2回1死。大野雄のやや内寄りの148キロ直球を完璧に捉えた。十分な滞空時間で左翼席中段に運んだ。「ボールがかわいそうなくらい、いい感触ではじき返せたよ! 来た球を思い切って打ちにいった。自分自身が一番待ち望んでいた」。来日デビューから23打席目での1発に声を上ずらせた。

米メジャーの実績を体現した。昨季パドレスで110試合に出場し20本塁打。左投手からは14本塁打、打率3割3分6厘で「左腕キラー」として来日した。1点リードの9回1死にも左腕ロドリゲスの140キロ外角変化球を左翼ポール際へ2号ソロで突き放した。「1本目よりも楽な気持ちで打席に入れた。チャンスをたくさんもらって日本の野球に適応していくことができた」と、グータッチではなく珍しく両手を広げたハイタッチで出迎えた原監督にも感謝した。

野球小僧の本能がチームプレーを証明した。6回1死一塁で小林の遊ゴロで二塁へのスライディングが危険だと判定され、リプレー検証の結果、コリジョンが適用された。「ダブルプレーを防ぎたいという子どものころからのプレーが出てしまった」と無意識だっただけに申し訳なさそうに言った。

助っ人として不要なプライドが先行することはない。シンプルに勝利を求め、成功を追求する。原監督は「貴重ですね。3点の2点だからね。1本目も先制された後。本拠地で先制されると劣勢になる。大きかったと思いますね」とたたえた。ビヤヌエバに覚醒の予感が漂う。【為田聡史】