ソフトバンクが試合のなかった楽天と並んで再び首位に立った。4回。日本ハムの「ショート・スターター」加藤に通算12打数無安打7三振と抑え込まれていた上林が、2点先制の適時打で口火を切り、甲斐、釜元も適時打で続いた。下位打線による3連打で5点を奪って、逃げ切った。3試合ぶり、主砲柳田の負傷離脱後は初勝利で、12日からの敵地楽天3連戦にはずみをつけた。

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「開き直るしかない」。前打者の川島が半ば勝負を避けられる形で歩かされ、7番上林は打席に向かった。「1本も打てていなかったので」と苦手意識を持つ天敵加藤に対し、初球から持ち前の思い切りの良さでぶつかった。初球をファウルして2球目。「スライダーを待っていたけど、びっくりして手を出しました」。低めのフォークを鋭いライナーで右前に運び、先制の2点をもぎ取った。

上林が打てば、続く甲斐も右翼フェンス直撃の2点適時二塁打で今季初打点。さらに釜元も適時三塁打と、この回だけで一挙5点を奪った。下位打線がつながっての快勝に、工藤監督も「みんなの集中力が一気に出た」と拍手を送った。

柳田、グラシアルが不在のここ2試合は攻めあぐねて引き分け、延長負け。前日10日の試合後はコーチ会議に時間をかけ、首脳陣が球場を出たのは日付が変わったあとだった。工藤監督は「真剣にみんなが考えてくれているからこそ、いろんな意見が出る。時間がかかろうが、そういう話をしていった方がいい」。チーム一丸で打開策を練った。

主軸不在の間、期待が寄せられるのは殊勲打の上林だ。オープン戦から不振が続き、ここまで打率2割台前半と本調子ではない。だが立花打撃コーチは「上林は試合に出るのが大前提。その中で、調子を上げてもらわないと」。目先の結果に左右されない「レギュラー」として、自らを立て直し、チームを引っ張る役割を期待する。工藤監督も「頑張ってもらわなきゃいけない選手。期待は120%あります」と、語気を強めた。

今日12日からは、同率首位で並んだ楽天と敵地仙台で首位攻防3連戦だ。上林は「明日(12日)は弟の誕生日なので。かっこいい兄でありたいですね」とクールに笑い、活躍を誓った。【山本大地】