ソフトバンクが単独首位に返り咲いた。ヒーローは「令和のサブマリン」高橋礼投手(23)だ。

楽天3回戦(楽天生命パーク)で先発し、7回2安打1失点でハーラー単独トップの3勝目をつかんだ。2年目のアンダースローは、テンポのいい投球を持ち味に、開幕から無傷の3連勝。新時代を担う若鷹が、平成で輝き始めた。

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捕手から返球を受けると、高橋礼はすぐさま両足を広げ投球準備の体勢に入る。サインにうなずけば、瞬く間にボールはミットの中だ。サブマリンから小気味よく、140キロ近い直球や100キロを切るカーブを投げ分け、首位で並んでいた楽天打線を手玉に取った。7回を2安打1失点で、堂々の開幕3連勝。「千賀さん、ミランダと左右の本格派のあとなので投げやすい。ラッキー。ここまでは自分のピッチングができているけど、これからという感じです」と殊勝に笑った。

勝てるわけがある。捕っては投げ、ポンポンとリズムのいい「高速サブマリン」で攻守に好影響を生んでいる。ソフトバンクはここまで15戦を戦い、延長戦が6試合と長時間ゲームが多い。3時間を切ったのは過去2試合しかなく、いずれも高橋礼が先発した3月31日西武戦と、4月7日ロッテ戦だけ。この日は今季3番目に短い3時間3分で終了。3試合平均すると2時間台で仕事を終わらせており“働き方改革”を実行。毎週日曜日の登板でチームにつかの間の癒やしをもたらす「プレミアム・サンデー礼」だ。

高橋礼は「しんどいけど、意識してやっている。自分の間合いで投げられるし、野手の方も守りやすくなると思う。いろんなことでいい方向につながる」と狙いを明かす。バックも同じ思いだ。今宮も「テンポがいいと守りやすい。『集中しよう』と考える間もなく、みんなが1球1球に集中できていると思う。(攻撃にも)少なからず影響していると思いますよ」と話す。野手陣は好守でもり立て、13安打6得点と活気づいた。

チームは5球団とひとまわりの対戦を終え、15戦で9勝4敗2分けと大きく勝ち越し、単独首位。柳田ら主力不在の中で、高橋礼ら新星の活躍が大きく光っている。【山本大地】