広島が今季初の4連勝で最下位を脱出した。6番一塁で先発したサビエル・バティスタ内野手(27)が7回、ダメ押しの1号ソロを放った。

ドミニカ共和国に一時帰国するヘンディ・クレート通訳(35)への餞別(せんべつ)代わりの1発。1、2打席目の適時打とあわせ、いずれも今季最多の3安打4打点と打ちまくった。息を吹き返した助っ人とともに、苦しんできた王者が上位を追いかける。

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バティスタは集中していた。1、2打席目で適時打を放ち、気分よく迎えた7回1死走者なし。DeNAエスコバーに対しファウルで粘った9球目、153キロの真っすぐをフルスイングで捉えた。打球は115メートル先の左翼スタンドへ。勝利を決定づける1号ソロの感触をかみしめながらベースを回った。3安打が今季初なら、4打点も最多。自らのバットで4連勝を導き、お立ち台に呼ばれた。

「アリガトウゴザイマス。何とか(スタンドに)入りました。練習から一生懸命やっているから、調子はよくなっている」

打ちたい理由があった。ヒーローインタビューに付き添ってくれたクレート通訳は、第3子出産を控える夫人をサポートするため、28日にドミニカ共和国に一時帰国する。食事から生活まで身内のように面倒を見てくれ、日本で生き抜くすべを教えてくれた恩人。餞別代わりの1発を贈り「家族じゃないけど、仲がいい。いいコンビです」と笑った。

乗れないチーム同様、苦しんできた。打ちたい気持ちが空回りし、打率は1割台前半まで落ち込んだ。2軍降格がちらつく中、前日20日に32打席ぶりの適時打を放ち、立場をつないだ。そしてこの日、会心の3安打。相手は国吉、砂田、エスコバーと、いずれも違ったが、センター返しの意識で打ち砕いた。

緒方監督は「週の最後にいいゲームをファンの人に見せられてうれしく思う」と話した。昨季25発を放ったドミニカンの目覚めとともに、チームは巻き返し態勢に入った。【村野森】