4年目左腕の巨人中川皓太投手(25)が、クローザー不在のチームで原辰徳監督(60)の懐刀になる。抑えのクックを右ひじ違和感で欠く中、DeNAの中軸が並んだ8回から登板し、1回無失点に抑えて連続無失点を10試合に伸ばした。原監督は代役クローザーに指名した中川を8回以降の最も厳しい場面で臨機応変に起用する方針だ。

3点リードの8回、中川が覚悟を決めてベンチを飛び出した。試合前に9回の起用を予告されていたが「7回の攻撃が始まったくらいに言われました。左打者が続いていたので」と即座に理解。無死一、二塁としたが「今年初めてくらいの結構なピンチだったので、何とか1人ずつ」と心を落ち着け、宮崎、中井を146キロの速球で連続三振。伊藤光はキレ味十分のスライダーで遊ゴロに打ち取り、野上へバトンをつないだ。

原監督はチーム状況を相対的に見渡し、最善の手を打った。「今日のプランニングの中では8回に、一番強い打線のところに中川をいったという部分において、迷いはなかった。クローザーは現状は全員でカバーする考え方。しかし中川を7回に投入ということはないと思います」。開幕から1点も失っていない左腕を懐に忍ばせ、試合の分岐点で繰り出す。

4年目を迎え「僕もいろんな経験をさせてもらって、自分の今持っている以上の力は出せないことが分かりました」。心の波幅を小さくし、等身大の自分を出し切ることが好投につながっている。「期待を無駄にしないように、これからも1試合1試合しっかり抑えたい」。救援陣の大黒柱として、頼もしく応えた。【桑原幹久】

◆中川皓太(なかがわ・こうた)1994年(平6)2月24日生まれ、大阪府富田林市出身。山陽では甲子園出場なし。東海大では4年秋に首都大学リーグMVP。15年ドラフト7位で巨人入団。18年8月19日中日戦で初勝利。今季推定年俸1900万円。183センチ、86キロ。左投げ左打ち。