広島大瀬良大地投手(27)が粘りの投球で7回を7安打0封し、チームの連敗を4で止める原動力になった。

1、3、7回に得点圏に走者を進められたが、気迫の投球で失点を防いだ。援護に恵まれず勝ちはつかなかったが、4月19日DeNA戦(マツダスタジアム)の5回から19イニング連続無失点。エース格に導かれ「令和初勝利」を挙げたチームは、再び逆襲に転じる。

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得点だけは許さない。大瀬良が意地を見せたのは7回だ。マークしていた近本に、この日3本目の安打を許し2死満塁。糸原を渾身(こんしん)のカットボールで中飛に仕留めた。阪神のイケイケムードを断ち切り、110球でお役御免。岩田との0-0の投手戦を演じきり、9回バティスタのV2ランを呼び込んだ。自らに勝ちがつかなくても、チームの勝利に貢献したことがうれしかった。

大瀬良 けっこう甘い球もあった。走者をためて、粘り強く投げられた。不用意な1発を浴びないよう気をつけた。岩田さんも気持ちの入ったいいボールを投げていたので、乗せられました。

チームの令和初勝利を引き寄せた。時代の変わり目を意識したのは4月30日、平成最後の夜だった。宿泊先ホテルの自室のテレビをつけると、各局が改元を報じていた。日付が替わる直前、自分が歯を磨いていることに気づいた。「磨きながらそのときを迎えるのは嫌だな…」。あわてて口をゆすいだ。厳かな気持ちで、午前0時へのカウントダウンを見守った。

それでも、すぐに現実に戻った。「早く寝て早く起きることのほうが大事ですから」。テレビを消し、すぐにベッドに入った。いつものように朝までぐっすり眠った。体を整えるため、1日最低7時間の睡眠を確保するのが、自らに課したノルマ。野球のために生活を組み立てる、いつもの姿がそこにあった。

連敗は4で止まった。緒方監督は「大地でしょう、やっぱり。7回は苦しい場面があったけど、しっかり投げ抜いてくれた」と、最大の功労者に大瀬良を挙げた。打線の不調が続いていた中、先発投手が試合をつくった意味は大きい。大瀬良がエースの心意気を示した。【村野森】

▽広島佐々岡投手コーチ(大瀬良について)「真ん中に集まるボールがあったけど、走者を出してから粘り強く投げてくれた」