首位巨人がドラマチックに令和連勝を飾った。

1点を追う5回2死一、二塁、4番岡本和真内野手(22)が東京ドームの天井に直撃するラッキーな同点適時内野安打を放つと、続く陽岱鋼外野手(32)が左翼スタンドの看板に直撃する特大勝ち越し3ランをたたき込んだ。2番手で登板した高木京介投手(29)は4年ぶり勝利。運と実力がかみ合い、首位固めに入った。

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野球の神様がいたずらっぽく笑った。1点を追う5回2死一、二塁。岡本がやらかした…かに見えた。中日ロメロの内寄りの153キロ直球を強振。「終わったと思った」と、完全に打ち損じてバットをたたきつけた。打球が高々と上がり、落下地点を左翼手福田と遊撃手京田に固められた。ところがどっこい。約55メートル上空の天井に打球が当たり、重力のままに急転直下。三塁後方に転々と弾む適時内野安打で竜の尻尾を捉えた。

天と地ほどの差を生んだ天井直撃打が、試合を決める一撃の呼び水となった。なお一、三塁の好機、続く陽岱鋼が失意のロメロの初球、144キロ直球をジャストミートした。ざわつく場内を一振りで最高潮まで突き上げる2号決勝3ランは、推定飛距離135メートルの令和初となる看板直撃弾。「和真が打ってくれて同点になって、気持ちが楽になった。相手の一番いいボールを狙って打ちにいこうと。いい打席だった」。一塁側ベンチを指さして、跳ねるように駆けだした。

奇想天外と本領がかみ合い、連勝を飾った。終わってみれば9得点で押し切り勝ち。チーム本塁打はリーグトップの40本に到達した。今季初の3点差以上の逆転勝ちで、首位固めも本格化。原監督は岡本の天井打を「しかしツイてる。あれがヒットになってタイムリーになるわけだから。もうそこは何かに感謝してね、次につなげるようにしないとね」と振り返り、陽岱鋼の1発には「大きく1歩を踏み出したわけですから、さらにさらに貢献して彼らしいバッティングを多く見たい」とうなずいた。

平成と令和をまたいだ大型連休の10連戦も、残すところ4試合となった。4勝2敗と白星先行。3日は開幕カード以来となる敵地での広島3連戦に臨む。ここ3シーズンは“神ってる”赤ヘル軍団に苦汁をなめさせられてきたが、潮目は変わった。ラッキーボーイとなった岡本は「運が味方してくれた」と言った。首位巨人が運と実力の「ビューティフル・ハーモニー」を奏でた。【為田聡史】

◆東京ドームのルール 打球がフェア地域とファウル地域の区別なく、天井に当たった場合はボールインプレーで、落下した地点または野手が触れた地点でフェアボールかファウルボールかの判定をする。この打球を野手が地上に落ちる前に捕球すれば打者アウト。打球が外野のフェア地域内にある懸垂物に当たるか、挟まった場合は本塁打。内野のフェア地域内の懸垂物に当たった場合は、天井に当たったケース同様にボールインプレーとなる。