日本ハム清水優心捕手(22)が攻守に活躍した。西武6回戦(メットライフドーム)の2回1死満塁の場面で先制となる決勝2点適時打。

打線に着火し、今季初の先発全員安打を誘発した。守っては途中交代するまでの7イニングで、強力な西武打線を1安打1得点に抑え込んだ。腰の手術で開幕は出遅れた正捕手候補が本領発揮で、チームを2カードぶりの勝ち越しに導いた。

清水は、強い意志を持ってバットを振り抜いた。2回1死満塁、カウント3-1。制球に苦しむ西武相内の144キロ直球が、真ん中へ来た。迷わず打って、左前に先制の2点適時打。「少しでも、1点でも多く取れればと思っていたので、よかった」。押し出し四球を選べる可能性もあったが、積極的な姿勢は崩さなかった。一気に2点奪ったことが、大勝へ向かう起点となった。

守備でも試合前まで12球団トップの総得点(148)をたたき出していた西武打線を抑え込んだ。今季初めてバッテリーを組んだ先発加藤、そして2番手の玉井を好リード。交代した7回まで、許した安打は中村のソロ本塁打のみだった。「加藤さんも調子よかったですし、玉井さんもしっかり抑えてくれた。ピッチャーのおかげだと思います」と謙そんしたが、自ら奪った主導権を離さなかった。

1軍復帰から、この日でちょうど1週間。1月23日に腰の手術を受け、開幕時は、まだリハビリ中だった。「後輩が頑張っているので、自分も頑張らないといけないと思っていた」。ともに2軍スタートとなった清宮の存在が大きかった。右手有鉤(ゆうこう)骨を骨折した後輩と「イラッとするくらいやった」という体幹トレーニングも「あいつは、しんどい部分を見せなかったので、助けられた。1人だったら、きつかったと思う」。弱みを見せない後輩の姿に刺激を受け、自身も強さを身につけて帰ってきた。

出場した2軍戦6試合でフルイニング出場はなし。それでも正捕手候補と期待する大器を1軍に呼んだ栗山監督は「万全に試合数をこなしていないけど、何とか集中してやってくれている」とたたえた。この日はスタンドに両親も駆けつけていた。攻守で躍動する姿を届けた清水は「出遅れた分、チームにも、親にも、しっかり恩返しできたらと思います」。打線は今季初の先発全員安打で快勝。頼もしさを増した若き扇の要が、チームを上昇気流に乗せていく。【木下大輔】