執念継投だ。広島は今季初の延長12回引き分けとなる中、守護神中崎翔太投手(26)セットアッパーのヘロニモ・フランスア投手(25)を4連投させる、攻めの継投を貫いた。

9回に中崎を起用。同点打を浴び延長に突入すると、12回にフランスアを投入した。昨年までは見せなかった起用法。12連戦の9戦目という踏ん張りどころで「勝負手」を解禁した。

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1点リードの9回、マウンドに中崎が上がった。あたりまえの光景だが、あたりまえではなかった。4日連続のマウンド。4連投は、15年9月8日中日戦から12日阪神戦まで5連投して以来、4年ぶりとなる。昨年までは「3連投」がリミット。それを解除して巨人打線に立ち向かった。

1死二塁から坂本勇に適時打を浴び、セーブは幻となった。それでも、続く丸を遊撃への併殺打に打ち取り、勝ち越しは許さなかった。守護神のプライドで、昨年までのチームメートに仕事をさせなかった。疲れがないと言えば、うそになる。「また、次がんばります」。短く話した。

攻めの継投は続いた。10回からは菊池保が2イニングを0封。援護がないまま12回を迎えると、最後にフランスアが投入された。昨年は3連投が4度あるが、4連投は初めて。坂本勇、丸、岡本を3者凡退させ「(連投は)ダイジョウブ」と振り返った。

12連勝の9戦目。前半戦の踏ん張りどころで、勝負をかけた。佐々岡投手コーチは「ザキ(中崎)にはセーブシチュエーションなら行くと言っていた。フランスアは最後の最後」と説明。「12連戦なので、ある程度無理してもらう」と話した。先制されても鈴木の2ランで逆転し、同点に追いつかれても会沢の適時打で突き放す展開。勝利を目前にして、継投を緩めるわけにいかなかった。

緒方監督は「投手も野手も全員、最後まで集中力を持って粘り強くがんばってくれた。今が一番がんばりどころ」と話した。首位に3・5ゲーム差の4位。逆転4連覇のためには、ここで踏ん張らないと苦しい。6日中日戦は中崎、フランスアを休ませる見込みで、佐々岡コーチは「あと3つ。全員でやるしかない」と力を込めた。【村野森】