黄色に染まった神宮の左翼スタンドがドッと沸いた。2-1と1点をリードして迎えた7回。

3番手でマウンドに上がった阪神藤川球児投手が踏ん張った。3四球から2死満塁のピンチで迎えたのは4番山田哲だった。2球連続の直球で追い込むと、最後はフォークで左翼フェンスぎりぎりの左飛。ゲーム最大の窮地を脱出し、大歓声を浴びてベンチに帰還した。

長きに渡って虎のブルペンを支えてきた右腕にとっては、これが1つの節目になった。ウィリアムスに並ぶ通算141ホールドを記録。セーブ、HP(ホールドポイント)に続き、3部門で球団最多になった。「チームが勝つことしか考えていない」と話した右腕も苦楽をともにした助っ人左腕の名前を聞くと「ジェフがすごい。伝説の投手」と笑顔になった。

執念の継投リレーだった。矢野監督は6回1死一塁で最少失点と踏ん張っていた先発秋山の交代を決断。指揮官は「迷いはなかった」と、左打者の雄平、村上が続く場面で左腕島本をマウンドに送り込んだ。その島本がピンチの芽を摘む無失点ピッチング。7回は藤川、8回はジョンソン、そして最終回はドリスが無失点に抑えて、しびれる試合を勝ち切った。

鉄壁のブルペンが異例の連戦に臨むチームを支えてきた。3日DeNA戦(甲子園)から、中継ぎ延べ16投手が無失点のバトンをつないでいる。矢野監督は「シマ(島本)から球児にいってね。みんなね。1点差ってすごく難しいし、慎重になる。そのなかでみんな最善を尽くしてくれた」と、奮闘する中継ぎ陣を褒めたたえた。厳しい試合が続く中、チームの救援防御率はリーグ1位の2・828(2位ヤクルトは防御率2・830)。強力なブルペンが虎の大きな武器だ。【桝井聡】