さすが聖地V右腕! 中日の高卒2年目、清水達也投手(19)が12日、「母の日」の敵地阪神戦でプロ初先発初勝利をマークした。

5回92球を投げ、4安打4奪三振4四球で2失点。生観戦した母にウイニングボールを贈った。花咲徳栄3年夏の17年には全国制覇も経験。思い出深い甲子園で、また大仕事をやってのけた。

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そそくさと出口に向かう阪神ファンも、思わずほほ笑んでしまう。「産んでくれてありがとう!」。19歳清水から数十メートル先にいる母への初々しい絶叫が、甲子園を温かく包み込んだ。

プロ初先発初勝利。舞台は花咲徳栄3年夏、リリーフエースとして全国制覇を成し遂げた「自分の庭」だった。「高校野球とは一緒にできない。完全アウェーなので。でも相手の応援が何人いようと、この球場は相性がいいと思って投げました」。先発予定だった福谷が2日前に腰痛で出場選手登録を抹消され、急きょ抜てきされたマウンド。最速145キロの直球と落差あるフォークを武器に、5回2失点と粘った。

「君は絶対ランナーを出すんだから、周りを見て深呼吸をして。バックがついているんだから」-。

2点リードの1回裏、2四球2安打で2失点。「初回は平常心でいけなかった」。難局を迎えた時、先発直前に届いた母・百合野(ゆりの)さん(52)からのメールにも支えられた。

母は愛息の直筆サインが入った帽子をかぶり、姉・瞳さん(23)と三塁側内野席から生観戦していた。母お手製のカレーライスと卵焼きが好物。今も頻繁にLINE(ライン)する。数日前にはカーネーションを初めて実家に送り届け、家族を驚かせていた。ウイニングボールまでプレゼントに追加し「『母の日』なので良かった」と照れ笑いした。

チームは突如現れた救世主の力も借り、6カードぶりの勝ち越し。開幕ローテメンバーの笠原、山井、吉見が離脱する中、19歳のプロ初星には1勝以上の重みがあった。【佐井陽介】