ベイさんよ、ただでは転ばんで!! 矢野阪神が粘り腰でワンサイドゲームを1点差の接戦に持ち込んだ。

6点を追う9回だ。6安打5得点の猛攻。勝ち継投のエスコバー、守護神山崎まで引きずり出した。1歩及ばず敗戦。単独2位も逃したが矢野燿大監督は言う。

「明日につなげられるように、生かせるように。あのまま完封で終わっていたら(相手の)中継ぎも登板がないまま終わっていた」

8回まではDeNA先発上茶谷の球威に押された。完封勝利目前のルーキー右腕に襲いかかったのは9回だ。先頭近本が速球に押されながら、中前に落とす。「完封で負けられない。自分にできることはしっかり塁に出ること」。執念の出塁に糸原も続いて無死二、三塁。反撃機で、3番糸井のバットが火を噴いた。

上茶谷の初球速球を強振し、左翼席に一直線。3号3ランで3点差に詰め寄った。糸井は「負けたので。それ以外ないです。勝てるように頑張ります」と言葉少なで引き揚げたが、誰もあきらめていなかった。大山も攻め手を緩めず、二塁内野安打で炎の4連打。DeNAに上茶谷の降板を強いた。木浪も適時打を放ち1点差に詰め寄った。敗れたが、意地を見せた。

前日24日まで07年以来、12年ぶりの4戦連続1点差勝利。渋い試合運びで競り勝ってきた。この日は劣勢でもド派手な反攻。1点差負けの「接戦の虎」を演じ、ダメージ半減だ。得意のDeNA相手に26日、仕切り直す。【酒井俊作】