日本ハム吉村浩GM(54)が2日、今秋ドラフト会議(10月17日)で大船渡(岩手)・佐々木朗希投手(3年)を1位指名すると明言した。岩手県内での佐久長聖(長野)との練習試合を視察し「間違いなく1位で指名します」と断言。4月に国内高校生史上最速163キロを記録した「令和の怪物」への1位指名宣言は、12球団で一番乗りとなった。ドラフトまで約4カ月半。異例の早期宣言となった。

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今年も日本ハムのドラフト戦略は不変だった。報道陣の「佐々木君の印象は」と問いかけに、吉村GMは数秒後、意を決したように話した。「間違いなく1位で指名します。プロ志望届を出すのが前提ですが」。ドラフト会議まで約4カ月半、新緑の岩手で指名宣言が出た。

交通の便が良くない山里の球場に、吉村GMは白井スカウトとともに試合開始3時間前に到着。熱心に視察し「他の候補選手へのリスペクトももちろんありますが、あまりにも能力が違いすぎる」と最大級の賛辞を口にした。近日中に行われるスカウト会議でも、あらためて佐々木1位が徹底される予定だ。

「その年の1番いい選手を取る」が球団の方針。11年には巨人以外なら入団拒否の姿勢だった東海大・菅野智之投手(現巨人)を、12年にはメジャー挑戦を表明していた花巻東・大谷翔平投手(現エンゼルス)を強行指名した。夏の高校野球、大学選手権、社会人都市対抗を控えた時期での一本化で、12球団のドラフト戦線を動かした。

栗山英樹監督(58)も昨秋キャンプから佐々木の1位を示唆していた。オリックス戦後には「(宣言が)遅いくらいだろ」と冗談を交えながら「モノが全然違う選手だとみんな感じている」と評価。「縁があるかないかは関係なく、必要な選手であることは間違いない」と話した。

佐々木はこれまで、希望進路を「国内プロ」と明言しており、今秋ドラフトで1位競合は必至だ。それでも吉村GMは「能力を評価しているのでそういう指名をします」と結論を貫く構え。「令和の怪物」獲得に、まずはドラフト巧者の日本ハムが動いた。【金子真仁、木下大輔】

◆日本ハムのドラフト戦略 04年の北海道移転後、球団の1位指名方針は「その年のNO・1選手」。11年は巨人原監督を伯父に持つ菅野智之(東海大)を指名、交渉権を得たが入団を拒否された。最速人選は06年高校生ドラフトの田中将大(駒大苫小牧)で、前年05年の11月には高田GMが「とるならば1巡目でなければ無理。北海道の選手だし、うちは逃げるわけにはいかない」と明言。04年ダルビッシュ有(東北)を7月には公言しているが、中田翔、大谷翔平、清宮幸太郎は10月に入ってから。