日本ハム清宮幸太郎内野手(20)が、負の流れを止めた。「日本生命セ・パ交流戦」DeNA3回戦の6回に同点2号ソロを放った。出場14試合48打席ぶりのアーチで劣勢を吹き飛ばし、7回の代打杉谷の決勝ソロを呼び込んだ。代表入りを目指す東京オリンピック(五輪)で野球の会場となる横浜スタジアムで、価値ある初本塁打。チームの連敗は4でストップした。

   ◇   ◇   ◇

ようやく、清宮らしいスイングができた。気持ちよく、フルスイングした。1点を追う6回。1ボールからの三嶋の2球目、138キロのスライダーをとらえた打球はバックスクリーン右へ飛び込んだ。大喜びの先輩らが待つ三塁側ベンチで、笑顔で「ヨッシャー!」と叫びながら力強くハイタッチ。「自分のスイングで、しっかり打つことができました」。3週間ぶりのアーチで、試合の流れを変えた。

7試合ぶりのスタメンだった。前夜にプロ初の代打安打を放つまで、15打席連続無安打。故障明けで疲労もたまる中で、打撃の状態も負の連鎖に陥っていた。まずは、相手投手とのタイミングを取れずに苦悩。バットを構えてから早めの始動で課題解決を試みていたが、左半身に重心が残りすぎ、体重移動もうまくいかない。スイングも窮屈になり、自分のスイングができていなかった。

この日も第2打席まで連続三振だったが「自信を持って打席に入れました。感覚的なモノだけど、自分の『間』ができていた」。スライダーは狙っていたという。「行ったかなと思ったけど、入ってくれてよかった」と喜んだ。8回の第4打席も空振り三振で、本塁打以外は3三振と完全復活とまではいかないが、自分の間で打てた感覚は、復調の兆し。「コンディションも上がってきた」と予感もある。

東京五輪の舞台となる横浜スタジアムでの初アーチにもなった。「どこで打ってもホームランは気持ちいい。この試合で出たことがうれしい」。来夏の侍ジャパン入りを目指すが、何よりも連敗ストップに貢献できたことが最高だった。試合前にはDeNAのマスコットから画用紙に意気込みを書くようムチャぶりをされ、「今日は勝ちます!」とサイン入りでしたため、大型ビジョンに映し出された。有言実行の活躍で、自分の、そしてチームの負の連鎖も止めた。【木下大輔】