<楽天2-2ロッテ>◇29日◇楽天生命パーク

115球の中でも特別な13球だった。ロッテ涌井秀章投手(33)が横浜高校時代の恩師・渡辺元智氏(74)の孫、佳明と初対戦。18歳当時、渡辺家の自宅兼寮で遊び相手を務めた“少年”から2打席で2三振を奪った。

「まさか高校時代の時に遊んでた子と対戦するとは思わなかった。打たれたくないのはあったし、打たれるんならまっすぐでというのはあった」。第1打席は7球全て直球。第2打席も6球中5球が直球と真っ向勝負を展開した。

針の穴を通すような制球力の持ち主も、21日に33歳の誕生日を迎え、今季はボール1個分のコントロールに苦しむ。コースいっぱいに決めに行った球に球審の手が上がらない。150キロ近い速球も少なくなった。しかし2回の先頭で訪れた初対戦。フルカウントからの7球目は膝元へコースいっぱいの直球。第2打席で投じた145キロはこの日最速タイ。対決で昔の涌井がよみがえった。

「変化球でかわしに行ってという結果にならなくてよかった。これから対戦も続くと思うし、もっともっといいバッターになってほしいし自分も打たれないようにしていきたい」。最後に1球だけチェンジアップを投じた。変化球の切れ味も見て学べという、先輩からの無言のメッセージだ。【久永壮真】