「8回の男」が帰ってきた。阪神ピアース・ジョンソン投手(28)が、1軍復帰後初めてマウンドに上がった。6月4日ロッテ戦以来で、8回の1イニングを3者凡退。チームが借金生活に逆戻りする中、2日DeNA戦で始まる9連戦に向けて明るい材料となった。

「やっとこの舞台に戻れて、気持ちよく投げられました」。久しぶりの1軍公式戦に、すがすがしい表情を浮かべた。先頭の平田を直球2球で簡単に追い込むと、最後は136キロカーブで遊ゴロ。続く京田は3球で右飛に仕留め、大島も136キロカーブで空振り三振。代名詞「パワーカーブ」を惜しみなく投げ込んだ。

「やっている以上はより良い球をと思っていますが、今投げている分にはいい感じで投げられていると思います」。開幕から登板28試合で防御率0・64の好成績を残したが、コンディション不良で6月7日に出場選手登録を抹消された。2軍で調整を続け、同26日に1軍合流。「8回の男」の帰還を誰もが待っていた。

矢野監督もジョンソンの好投に胸をなで下ろした。「心配ない投球。1回投げて、これでまた落ち着く。小野もいいし、球児もいつも通りやってくれている。いろんな幅ができる中継ぎ投手陣になってきている」。この日は7回に藤川が登板し無失点。9回に登板した小野も8戦連続無失点と安定感を見せ、中継ぎの方程式のバリエーションもさらに増えそうだ。

ジョンソン、藤川、ドリスの3人がそろい踏みするとここまで9戦無敗だったが、ついに初黒星。それでもジョンソンは前を向く。「チームとしてはいい野球が出来ているし、少しのことで連敗になった。来週からの試合もチームとして頑張っていきたい」。2日からは同率3位のDeNAを皮切りに9連戦が始まる。次こそチーム一丸で紙一重の勝利をつかむ。【磯綾乃】