「マイナビオールスターゲーム2019」(12日東京ドーム、13日甲子園)の監督推薦による出場選手が1日、発表され、阪神藤川球児投手(38)が7年ぶり9度目の出場を決めた。監督推薦での選出は2度目。

藤川は敵将からの球宴推薦にとびきりの笑顔を見せた。「一番のライバル球団である広島カープの緒方監督から認められたということは、光栄に受け止めています」。7年ぶりの夢舞台。言葉は感謝にあふれた。

06年に西武カブレラから全球予告直球で奪った空振り三振など、火の玉ストレートを武器に数々の名勝負を展開し、宴を盛り上げてきた。「あの時は自分の気持ちもすごく強くあったので、向かっていく側だった」。円熟期を迎えた今回は若手の挑戦も受けて立つ。

「もしかしたら『僕から打ちたい』という選手がいるかもしれない。それを肌で感じた時に、自分がどういう風なピッチングをしようと感じるか。あとはファンの歓声とかを見て感じて。それから(投球内容は)考えようかなと思います」

シーズンとは違う勝負ができる球宴舞台。対戦したい打者には、オリックス吉田正と西武森の名前を挙げた。交流戦では四球を与えた2人に対し「戦略で対戦できなかったところがあるので、そういうのを度外視してやっていい環境になる。場面があった時には、思いっきりの勝負をお客さんに楽しんでもらえたら」と、火の玉復活での真っ向勝負を示唆した。

球宴には05年から12年まで8年連続出場。その後はメジャー挑戦や独立リーグを経て、阪神に戻ってきた。今季はセットアッパーとして28試合に登板し、4勝16ホールド、防御率1・26と抜群の安定感を誇る。これまで支えてくれた家族、ファンへ、恩返しの舞台とする。独立リーグ時も変わらず応援を続けてくれた息子には「結果として示していかないといけないので」と男の約束だ。第2戦の舞台は本拠地甲子園。阪神ファン、そして全国の野球ファンに「本物を見てもらいたい」と意気込んだ。

借金1のチームは2日のDeNA戦から前半のラスト9連戦を戦う。3位で並ぶDeNAとの対決を手始めに2位広島、首位巨人と上位戦が続き、1つの正念場を迎えた。もちろん背番号22は連投辞さずで、逆襲&Aクラス死守に貢献する覚悟。もうひと暴れして球宴に向かう。【奥田隼人】