首位巨人の背中が遠のいていく…。来日初登板の広島ケーシー・ローレンス投手(31)が5回に四球連発で乱れ、5回6失点で1敗目を喫した。チームは坂倉将吾捕手(21)をプロ初の「1番左翼」に抜てきする打線組み替えも実らず、引き分けをはさんで4連敗。最大14あった貯金は2に減少。巨人に5ゲーム差をつけられた。このままズルズル負けを重ねれば、リーグ4連覇が厳しくなってくる。

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動くボールを巧みに操るローレンスが5回、突如崩れた。2死二塁から山田哲にボールを3つ続けた後、申告敬遠。ここからストライクが入らない。2者連続ストレートの四球で、まさかの押し出し。さらに村上に満塁弾を浴び一挙5失点。「自分の中で説明できない状況。あれだけ四球を出した経験はない」。悪夢の来日初登板となった。

開幕ローテ入りを手にしかけたが、開幕直前に祖父が亡くなり緊急帰国。外国人枠の問題もあり、その後は2軍での生活が続いた。「帰国に後悔はない。家族と過ごす時間が必要だった」。ウエスタン・リーグで黙々と投げ、3勝3敗、防御率3・25。首脳陣から「1度見てみたい」と、初めて1軍に呼ばれた。

6月9日の交流戦、ソフトバンク戦をマツダスタジアムのスタンドから観戦した。来日中の父と妻とともに、普段は見ない角度から野球を見た。広島ファンの1球1球への反応、応援スタイル…。新鮮だった。改めて1軍マウンドへの思いが湧いた。苦しむチームを救うチャンスでもあり、胸に期するものがあった。

ローレンスの乱調が響き、引き分けをはさんで4連敗。緒方監督は「途中までよかったけどね。ちょっと5回がもったいなかった。2アウトとってから」と振り返った。長野、バティスタの2軍落ちを決断し、坂倉をプロ初の1番で起用するなどてこ入れを決行しても、白星が遠い。鯉はこの試練を乗り越えられるか。【村野森】

広島佐々岡投手コーチ(ローレンスについて)「(5回の四球連発は)まったく腕も振れないし、抜ける球もあって。そういうところが課題。メンタルなのか」