ロッテの16年ドラフト1位、佐々木千隼投手(25)がうれしい656日ぶり勝利を挙げた。昨年右肘を手術した右腕は2年ぶりに1軍で先発。日本ハムを7回1失点に封じて、17年9月21日の西武戦以来の白星を手にした。チームはここまで5位。苦しい戦いが続くが、球宴後の巻き返しへ向け、井口監督は佐々木を後半戦のローテーションへ組み込むと明言した。

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お立ち台に上がった佐々木はファンの大歓声を耳にすると「ちょっと泣きそうです」と声を詰まらせた。最後に勝ってから2年近い月日が流れた。「喜びというよりホッとしたというか…。やっと勝てたというか。そっちの方が大きい」。目は真っ赤だった。

1年目の17年に4勝(7敗)。だが昨年は7月に右肘関節の遊離体を除去する手術を受けたこともあり1軍登板なし。この日が17年10月5日楽天戦以来の1軍マウンドだった。試合前から緊張し、立ち上がりはボールも多かった。2回までに39球。だが「投げていくにつれてほぐれていきました」。3回以降はキレのある直球にシンカー、スライダーを交えて好投。6回終了時に首脳陣から状態を聞かれると「大丈夫です」と、7回の続投を志願した。

手術は簡単なものだと思っていた。だが痛みが戻る一進一退の状態が続き、復帰が遅れた。今年4月3日イースタン・リーグのヤクルト戦でようやく実戦復帰。最初は打ち込まれることも多く、捕手と相談。もともと横投げに近いスリークオーターだが「(今より)肘が低い位置で投げていた。打者から見やすいだろうと。ちょっとずつですけど意識を『上から(投げる)』にしていった」という。

井口監督は試合後「後半戦に出てきて欲しいと期待して投げさせているわけですから。千隼は(ローテに)入ってくる」と明言。佐々木の復活とともに、チームも逆襲をスタートさせる。【千葉修宏】

◆佐々木千隼(ささき・ちはや)1994年(平6)6月8日、東京・日野市生まれ。都立高の日野を経て入った桜美林大では、16年に菅野(東海大-巨人)の持つリーグ記録に並ぶ年間7完封を達成。同年ドラフトで、外れ1位では史上最多の5球団から指名を受けロッテ入団。1年目の17年は15試合4勝7敗0セーブ、防御率4・22。今季年俸は1670万円(推定)。181センチ、83キロ。右投げ右打ち。