ソフトバンクの新守護神甲斐野央投手(22)が、9回を抑え7セーブ目を挙げチームを連勝に導いた。「絶対やり返そうと思っていた」。前日8日は東京ドームで1点リードの9回2死、あと1球から森に逆転2ランを許していた。

この日も1点差で9回のマウンドへ。先頭を二塁内野安打で出したが、続く鈴木が送ろうとバントした打球を捕手甲斐がつかむと「甲斐キャノン」で二塁へ送球。捕-遊-一と渡り、併殺を奪った。あわててかがんで避けた甲斐野は「甲斐さんのえげつない送球だった。僕、ほんと殺されるんじゃないかっていうくらい」とキャノンの威力に改めて驚いた。

カイカイバッテリーは、セーブ失敗し9回途中で降板した6月18日ヤクルト戦以来9戦ぶり。甲斐も競った終盤は高谷にほとんどマスクをゆずっていた。工藤監督は「今日はリードを見ていても緩急を使って相手に的を絞らせなかった。代えるというのは全然考えていなかった」と甲斐のリードをほめた。

1点差のしびれる試合、6回は高橋純、8回は加治屋が走者を背負いながらも無失点で切り抜けた。この日、開幕から勝ちパターンで投げ続けていたモイネロが右膝を痛め出場選手登録を抹消された。本来の守護神森に続く離脱。武田も再調整で抹消した。厳しい状況の中、経験のない若手投手、正捕手の甲斐がともに成長している。甲斐は「やるべきことをやるだけ。足りない部分も多いが頑張っていきたい」と話す。2位日本ハムには7ゲーム差。若手が成長しながら確実に首位ロードを突き進んでいる。【石橋隆雄】