恩返しの地元球宴だ! 阪神近本光司外野手(24)が、「マイナビオールスターゲーム2019」(7月12日東京ドーム、13日甲子園)に初出場する。新人で唯一、ファン投票で選出された虎のドラフト1位が、感謝を胸に夢舞台への思いを告白した。不動の1番として戦った前半戦を振り返り、勝負の後半戦への意気込みも語った。【取材・構成=奥田隼人】

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たくさんの人に支えられて、立つことを許された球宴の舞台。近本は恩返しの思いを込めて、一流のスターたちと競演を果たす。

近本 僕1人の成績だけじゃなく、今までサポートしてくれた人や一緒に戦った仲間、そういうつながりで今、こうしてオールスターに出場できるようになった。そういう人にもしっかり、プレーでもっと応援してもらえるように。勇気や元気を与えられるようにやっていきたいと思います。 第2戦の舞台は5年ぶりとなる甲子園。ファンはもちろん家族や親戚、友人や地元の兵庫・淡路島の人たちからも票が届いた。中学時代の同級生で18年3月に結婚した未夢(みゆ)夫人もその1人だ。二人三脚で歩んできた愛妻にも感謝は忘れない。

近本 アマチュアとプロで一番違うのは、一緒にいる時間が少ないということ。一緒にいる時はできるだけ一緒にいようとしていますし、遠征に行った時でもテレビ電話だったりで話やコミュニケーションを取っています。

出場決定後には未夢夫人がサプライズで買ってきたショートケーキを食べて2人でお祝い。第2戦当日は夫人や両家族、親戚らを招待する。恩返しとともに、超一流との交流も積極的に図る考えだ。

近本 (DeNA)筒香さんとか(広島)鈴木誠也に、追い込まれてからのボールの見逃し方を聞いてみたいなと思います。

開幕スタメンを奪取し、不動のリードオフマンとして活躍した前半戦。球団新人の連続試合安打記録を塗り替えるなど、好調をキープしていたバットは交流戦に入った6月に失速したマイナスをプラスに捉え、冷静に振り返る。

近本 いい勉強になった。6月の成績というのは変えられない。そういう経験は(シーズンを戦う)プロ野球でしか経験できないですし、そういうところで自分が本当に何をしないといけないのか、その時じゃないと分からない。調子が悪い時に、どういうことをして、どういう練習をしたらいいのかというのが、その時に気づけたのは良かったなと思います。

俊足自慢の近本は盗塁に関しても手応えをつかんでいる。

近本 盗塁に関しては数(リーグ3位の19盗塁)もそうなんですけど、1年目は企画数を意識しようと思っていた。失敗も多いですけどその分、走っているということ。自分の中ではいいと思う。守備に関しても、アマチュアの時から比べたら送球も、少しは安定してきた。守備での落ち着きというのもだいぶ出てきたかなと思います。

7月に入り、一時の不調も回復傾向にある。

近本 復調の要因はしっかりタイミングを取ること。しっかり原点に戻って、シンプルにというのを心がけています。

勝負後半戦へ-。理想の1番打者像として盗塁や打率よりもこだわる数字がある。

近本 ピッチャーが1球目を投げて、ファーストストライクをしっかり打ちにいけるというのが理想像です。それでヒットや長打になるというのが一番いい。(後半戦は)得点をもっと増やしたい。これから順位に対しても本当にシビアになり、もっと1勝の重みが重くなってくると思う。そういうところで打率や盗塁、四球とかじゃなくて、得点というのをもっと取っていきたいなと思います。