阪神藤原崇起オーナー(67=電鉄本社会長)が11日、矢野燿大監督(50)の来季続投を明言した。大阪市内の電鉄本社で前半戦を総括。「補い合いながら競争していい形」と一定の評価を与えた。矢野監督は昨年10月に3年契約で就任。2年目の来季も指揮を執ることが確実になった。今季は39勝41敗4分けで、1点差試合の多さについて言及。失策などミス撲滅、接戦を競り勝つ強さを厳命した。

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甲子園での巨人戦3連敗で終えた前半戦から一夜明け、藤原オーナーが矢野監督への信頼を口にした。「みんなが補い合いながら競争している。誰かがケガをしても誰かが出てくる。いい形になっている」。特に5月は15勝9敗1分けと躍進。4月の苦戦から立て直した点などを評価した。

昨季最下位のチーム再建を託され、昨年10月、新監督に就いた。新人近本の抜てきや前半戦全試合で大山を4番に起用。ガッツポーズ導入で明るい雰囲気をつくった手腕も買う。藤原オーナーは来季以降の指揮について「そら、当然そういうことですよ。みんなで、コーチも含めて、いま、一生懸命やってくださっている。そら、期待しています」と言及。続投を明言し、来季は3年契約の2年目となる。

首位巨人を9・5ゲーム差で追う2位タイだが、借金を背負う。「まだ勝ちが負けより少ないところが残念。願わくば、今でもジャイアンツに食らいついていくくらいでやったら言うことありません」と本音をにじませつつ、自らデータを持ち出して切り出した。

「ゲームが84試合終わって25%が1点差の勝ち負けですわな。多いですわな。そこで勝ちきらなあかんということでしょうから。1点差って大きいでしょ? 1点差で勝ったのが11、12試合で負けたのが10個ほどかな。それを勝ち抜かないかんということですから」

今季の1点差試合は12勝11敗。戦いぶりをほぼ誤差なく把握する。接戦を拾うのが今季のスタイルだが、リーグワーストのチーム失策数72個など守備が弱点。「エラーや走塁のミスがあったりがよく出ていますけど、そういうところを克服するのが後半のね。監督やコーチも、選手も分かっているでしょう」と指摘し、ミス撲滅指令を出した。

新生タイガースの一丸態勢に手応えもある。「我々はちょっとしたことを勝ち抜くことが一番必要。後半戦に向かって足らんところの力をつけるように頑張ってくれると期待しています」。後半戦の上位進出に望みをつなぐ。【酒井俊作】

▽上位進出を目指す阪神はフロントも矢野体制を全面バックアップする。谷本球団副社長兼球団本部長は「超大型連敗みたいなモノもなかった。投手を中心に守りの野球はできている。当初、目指していた部分は」と話した。

チーム防御率は12球団トップの3・40と健闘。その一方で得点力不足に悩み、7月にメジャー通算75本塁打のヤンハービス・ソラーテ内野手(32=マーリンズ傘下)を獲得するなど、打開策を講じた。同副社長は「矢野さんは、もっとできると思っているはず。我々も支持してやっていきたい」と話した。