阪神近本光司外野手(24)が後半戦をマルチ安打で発進した。

見せ場は6回だった。「しっかり僕が先頭で(塁に)出れば、勢いや流れが作れると思う。そういう自分の仕事を、しっかりやりたいです」と予言していた通り? 無死から中前打を放って出塁。粘りに粘って8球目をたたいた。「いいボールが来ていたので、打てる球までなんとか粘って。しっかりタイミングが取れた。(凡退した)1、2打席目も自分としては悪くなかった」。一時は勝ち越しとなる2点目のホームを踏んだ。

初出場した球宴第2戦(甲子園)では先頭打者弾を含む5打数5安打でサイクル安打を達成し、球宴MVPを獲得。その名は一気に全国区となった。この日はさらに発奮材料があった。新人ながら、自らの応援歌が新設され、ナゴヤドームでお披露目となった。

切り拓け、勝利への道~♪ 

リードオフマンとしての期待がこもった歌詞だ。「応援団、ファンの方に作っていただいたので、プレーで(恩を)返せるようにしたい。甲子園では、歌詞もバックスクリーンに出るので、自分の力にも変えたい」。感謝の思いを込め、8回には2安打目となる中前打を放った。交流戦から不振に苦しんだが、完全に調子を取り戻している。

ただ反省も忘れなかった。8回に出塁した後、すかさず2球目にスタートを切ったが、ピッチアウトされて盗塁死。試合後は「アウトになった場面は…。難しいですね」と険しい表情を見せた。矢野監督は「チカもいいタイミングで走るのが難しかったと思う。でも、それも成長段階。1年目から期待はしているし、そういう勉強も必要なところ。近本自身も研究なり、警戒されたなかで、どうくぐり抜けていくか。これから野球をやっている間は一生続くと思う」と期待をこめた。

チームは敗れ、後半戦は黒星発進となった。しかし近本が元気なら、心配はいらない。「これからもファンのため、チームのためにやることは変わらない」。期待の新星は、後半戦も希望の光だ。【真柴健】