DeNA山崎康晃投手(26)が、プロ野球史上最年少で、史上15人目の通算150セーブを達成した。入団1年目から守護神に抜てきされ、5年目で節目に到達。苦しかった時期、ハマの小さな守護神はDIYを始めた。物作り以外で気付いた試合を作る喜び。そんな思い思いを、日刊スポーツに手記でつづった。

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3年前の夏かな。すごく苦しい時期がありました。家に帰っても、モヤモヤして。寝られない日が続きました。朝の4時、5時になっても目は覚めたまま。眠気が来たと思ったら6時。外はもう明るくて。球場に行きたくないという日もあった。どのポジションも大変だけど、他のポジションだったら、少しは気持ちが楽になるのかなと思ったこともありました。

ちょうどそのころ、細かな作業をするようになりました。何かに没頭すると時間を忘れたりするんですよ。DIY、プラモデル、レゴ、パズルが好きで。

この間は嶺井さんの折れたバットで、靴べらを作ってみました。ベッドサイドの棚も作ったことありましたね。ホームセンターで、木材を買って、ヤスリで削って、色を塗って。自分で何かを作るって、面白いですよ。レゴでは東京スカイツリーを作ったこともありますね。下からライトを照らせるタイプのやつで。ステンドグラスのパズルも作りました。裏がスケルトンの額を買って。そんなプロ野球選手いないかもしれませんけど(笑い)。僕、変ですかね? 

DIYはこの間、家のベランダに人工芝を敷いたんですよ。自分でやってみたら楽しくなって。デッキブラシで、ベランダを奇麗にして。ネットで1メートル×10メートルのマットを買いました。切って、貼り合わせる地味な作業ですけど(笑い)。ベランダって配管とかあるじゃないですか? あの丸いところも、定規で測って、余りのないように芝を敷いて。細かいところに気を使って、きっちり仕上げないと。完成したものを見ると、気持ちいいもんですよ。ストレス発散でやっている趣味も、なんだか僕の野球人生に似ていますね(笑い)。

最初は「試合を作る」立場でしたから。もともと、先発で入団して。まさかクローザーになるとは思っていなかった。最初の方は、先発に対して、少し嫉妬や、うらやましい気持ちはありました。同級生の石田とか。ただ自分は、先発に挑戦したけど、うまくいかなった。先発を経験したから、どれだけすごい仕事か分かるし、同じくらい試合の仕上げの重要さが分かるようになって来ました。最後を失敗したら、積み重ねてきたことをぶち壊すことになる。僕は守護神を外された時にもう1回やりたい、戻ってやろうと思っていた。日に日に守護神、クローザーに対しての思いは強くなって来ました。

今は胸を張って言えます。試合の最後に投げ、抑えて、勝利投手にウイニングボールを渡すというところにもやりがいがあるんです。抑えも試合を作るということだなって。もう1度、人生をやり直して、プロ野球選手になれるなら、クローザーやりたいと思いますかね。

今後の大きい目標としては、歴史に名を刻みたいです。横浜と言えば、大魔神・佐々木さんがいて。そういう愛称で呼んでもらって。自分も比較されることが多い。ただ、いつかは超える存在になりたい。

今の目標は、何とかチームのために、勝ちたい気持ちと、ウイニングボールを多くの人に渡したい。「Delight In the Yokohama(横浜に喜びを)」。僕なりのDIYを作れるように、これからも頑張ります。応援よろしくお願いします。(DeNA投手)

▽DeNAラミレス監督 リーグ、日本でも一番安定しているクローザー。まだ150セーブなのか、200なのかと思った。それくらい、素晴らしい仕事をしている。