オリックス吉田正尚外野手(26)が2年連続20号となる先制V弾で勝利に貢献した。初回1死一塁から涌井の高め直球を振り抜き、右中間ホームランラグーンにかっ飛ばした。

「ちょっとつまりましたけど、なんとかギリギリ入ってよかった。速い球に合わせていたので、打てると思って打ちにいきました」

26本塁打を放った昨年に続き大台に到達。「少しずつ(調子が)上がってきた。また積み重ねていきたい」。9回先頭でも右中間を破る二塁打を放ちマルチ安打を記録。7月は打率3割5分7厘、7本塁打、21打点と初の月間MVP獲得へアピールした。

吉田正は「初めてのことなので、選ばれたらうれしいです。(今季は)スタートが悪かったので、チームに勝ちをつけられる仕事をしていきたい。次は30本を目標にいきたい」と闘志を燃やした。

この日の試合前には青学大前監督の河原井正雄氏(65)が激励に訪れていた。「いつも『俺が来たら打たないからな』と言われていました。大学1年から3年まで見てもらっていた。いいところは見せられたと思います」。

大学時代に不発に終わった試合後、河原井監督の指示で吉田正以外の選手が守備につき、単独で打撃練習を行ったことがあったという。「僕だけのためにやってもらった。監督のなんらかの思いはあったんだと思います」。決勝の20号が恩返し弾となった。

主砲の号砲を皮切りに打線が奮起し、14安打8得点の猛攻をしかけ、1安打で完敗した前夜の借りを返した。西村監督は吉田正の1発に「ああいう形でゲームに入っていけると盛り上がる。勢いに乗っていける」と目を細めた。15日に26歳となった夏男が敵地で熱い仕事をやってのけた。【古財稜明】