3位広島が首位巨人に連勝して1カ月ぶりに4ゲーム差に接近した。1-1の7回に代打磯村の適時打など5連打を含む6安打で一挙4点を勝ち越し。9回は代打坂倉のプロ1号の3ランでダメを押した。7月2日以来の4差で、同18日の最大12差からじわじわ詰めてきた。リーグ3連覇中の王者が、後半戦に入って12勝3敗と盛り返し、2位DeNAを含めたペナント争いは混沌(こんとん)としてきた。

緒方監督のタクトがさえた。同点の7回無死一、二塁。代打磯村は3ボールからのバントをファウルにすると、続く5球目はエンドランに切り替えた。バントの構えからヒッティングし、高く弾んだ打球は三塁手の頭上を越えた。スタートを切っていた二走・曽根は一気に生還。勝ち越し点を奪い、さらに勢いづいた。バント安打から2本の適時打で突き放し、この回打者9人6安打で一挙4得点。つなぎの攻撃とともに、V争いに広島が帰ってきた。

緒方監督 しっかり切り替わったサインの中で選手が動いてくれた。しっかりやってくれた。

中軸の安定が広島の復調を支えている。1番西川と4番鈴木の同学年コンビが後半戦をけん引。エンドランで勝ち越した直後、西川がバント安打でチャンスを広げ、1死満塁から鈴木が2点打で中押し点を奪った。後半戦の打率は西川が4割、鈴木が3割8分1厘。好成績で打線を活性化させている。

不振だった大砲の復調気配も心強い。1点ビハインドから同点弾を放ったのは7月まで打率1割台だった松山。巨人メルセデスの浮いた真っすぐを右中間席に運んで流れを変えた。「前半戦、全然力になれなかったので、後半戦は僕がやらないといけない」。チーム浮上のキーマンと自覚する男が復調すれば、攻撃陣の厚みはより増す。

そして新顔も出てきた。9回は代打の3年目坂倉のプロ初本塁打でダメ押し。中軸に復調選手と若手がかみ合い、4カード連続勝ち越しを決めた。7月18日までは12ゲーム差まで離されていた首位巨人の差を、4ゲームにまで縮めた。緒方監督は「若い選手が多いだけに失敗もするだろうけど、結果が出れば自信にしてくれればいい。経験を積んで成長していってほしい」と相乗効果に期待する。敗戦と勝利、失敗と成功を繰り返しながら、緒方広島が浮上してきた。【前原淳】

▼広島が今季50勝目を挙げ、7月18日にあった巨人との最大12ゲーム差を4ゲーム差へ縮めた。今季の広島は4月16日借金8→6月1日貯金14→7月18日借金6→8月1日貯金4と好不調が激しく、一時は2桁貯金から借金へ転落。2桁貯金→借金→2桁貯金は02年ダイエー(貯金10→借金3→貯金10)が記録しているが、ダイエーは最終的に貯金8の3位。2桁貯金から借金に転落したチームが再び盛り返して優勝したケースは過去ない。広島は6~7月に11連敗しており2桁連敗チームの優勝も過去ない。ここから広島が逆転優勝すれば「史上初」の記録がいくつも付いてくる。