阪神が「三重苦」の黒星を喫した。プレーボールから30分もたたないうちに敗色濃厚に追い込まれた。

まだ空は明るい。岩田稔投手が2戦連続炎上の初回5失点。これが致命傷になったが、投打の歯車は直前の攻撃から狂っていた。1回1死二塁の先制機。糸井が右飛に倒れ、4番大山悠輔内野手の出番だ。

だが、カウント2-1から九里の内角シュートを2球連続で手を出さず、見逃し三振に終わった。6回も無死一塁で三塁併殺打。7回は1死二塁で中飛。この日は5打数無安打と精彩を欠き、悔しさを押し殺すように無言でバスへ乗り込んだ。矢野監督は「内容も良くないし、結果も出てないから、もちろん迷うのもあると思う。でも、しっかり振ることは、しっかりしていってほしいのは、こっちの希望」と振り返った。

頼みの主砲は7月下旬から調子が下降線だ。左足をすり足気味にするなど試行錯誤するが8月は4戦15打数2安打で打率1割3分3厘に沈む。開幕から全101試合で4番を託す矢野監督も苦悩がにじむ。「外すのは簡単やし、俺ももちろん頭の中ではいろいろあるけど。いま、ここでそれを明言できることは何もない」。

成長を見込んで不動の打順だ。今季は打率2割6分、11本塁打だが、得点圏打率は試合前時点で中日の4番ビシエドと、ほぼ変わらない3割2厘。広島鈴木や巨人岡本らを上回るなど勝負強さも示すが、今季最大の踏ん張りどころだ。

4番が打てず、先発も崩れた。岩田は初回から赤ヘル打線のえじきになって被弾など5連打を浴びて5点を失った。前回登板の5月28日巨人戦も1回7失点など3イニング9失点。汚名返上の舞台で2回KO。指揮官は「あそこからの奮起を期待したんだけど、同じだったので抹消します」と話した。

2回は二塁ソラーテが一塁悪送球。痛恨エラーも響いた。守備に不安があり、打撃もリズムが生まれないのが現状だ。打てず、守れず、抑えられず…。6日のヤクルト戦からは9連戦。3位広島との差は再び4・5に広がり、正念場に立たされた。【酒井俊作】