楽天が踏ん張りどころの一戦を、投打ガッチリの完勝で制した。1回に銀次内野手(31)の5号2ランなどで3点を先制すると、攻撃の手を緩めず先発全員安打で10得点。投げては7回4安打無失点のルーキー弓削から完封リレー。チームは後半戦7カード連続初戦白星で3位に浮上した。

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全体練習開始前、平石監督が輪の中心で口を開いた。「『ここを乗り切るかどうかで、シーズンが変わってくる。守りに入らず、アグレッシブにいこう』と。そういったことを伝えました」。いずれも大差の2連敗を喫して5位ロッテに1ゲーム差と迫られ、正念場を迎えていた。

思いを受けた選手たちが1回から躍動した。島内と浅村の鮮やかな連続二塁打で先制すると、2死二塁で銀次が初球のカーブを反応でスタンドにたたき込み、自己最多に並ぶ5号2ラン。2回は弓削とバッテリーを組むドラフト2位ルーキー太田が、わずかな隙を逃さず暴投で三塁から生還した。コンディション不良による欠場も経験するなど後半戦は42打数7安打の打率1割6分7厘、1本塁打、2打点と苦しんでいたブラッシュが適時打を含むマルチ安打。昨季新人王田中の右打席での今季初安打、ウィーラーの1発も出た。「最後まで緩めず、雑にならず、ゼロに抑えたのも良かった」。平石監督も、かみ合った投打の歯車に目を細めた。

本塁打をはじめ今季3度目の1試合4安打をマークした銀次は「1打席目があまり出ないホームランだったので、そこから、逆にコンパクトに打つことを意識した」。まさに雑にならず、単打3本を重ねた。過酷な真夏の10連戦もあと2試合。「これからも、できることを必死にやるだけ」。主将の言葉を、全員で体現していく。【亀山泰宏】