西武中村剛也内野手(36)が、4年ぶり5度目のシーズン100打点を達成した。3回2死満塁で右中間への2点適時打を放ち、これが決勝打となった。

5度の大台到達は史上11人目で、球団ではカブレラを抜き単独の最多記録。105打点の山川、85打点の森との和製100打点トリオの現実味も出てきた。山賊打線の枢軸が暴れての3連勝。2ゲーム差に接近した首位ソフトバンクと、30日から本拠地での3連戦に臨む。

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外角低めの直球は、ストライクゾーンから外れていた。安打と相手の失策、粘った四球で味方が回した3回2死満塁のチャンス。中村は「自分がいけると思った球を振っていこう」と初球を狙っていた。体から一番遠い球に、バットの先っぽを当てて右中間へポトリ。決勝の2点適時打となった。大好物の満塁。「甘い球=打つべき球」という常識を上回る集中をファーストスイングに込めた。

力みなく自然体でバットを振る。7月19日に打ったサヨナラの通算400号が契機になった。「何も考えず、自分の打撃をしようと思って、それがいい感覚につながった。若いときは『決めてやろう!』という強い気持ちがあって打てないときもあった。経験を踏まえ、最近は『いつも通りやろう』と」。1発狙いは捨て去り、勝ちに直結する1打を。逆方向への軽打に、プロ18年目のすごみが凝縮されていた。

シーズン100打点の大台に、4年ぶりに到達した。「100打点は達成したい数字」とひそかに課してきたハードルだった。5度目の達成は史上11人目で球団では最多記録。「去年、一昨年は、自分のバッティングが思うようにできていなかった。今年はいい形で打てている。走者がいればかえすことと、甘い球を捉えられる回数が今年は多い」。自然と打率も上がり2割8分9厘。自己最高を更新しようとしている。

4番に入ってからは打率3割5分とチームをけん引。日没コールドだった前日の5打点に続く打棒を振るい、北の大地で3連勝へ導いた。疲れを感じさせずに8月を終えようとしている。「そんなに元気じゃないんでね。いい形でスイングができればいいですね」。山賊打線のど真ん中にドッシリと構え、ソフトバンクに挑む。【栗田成芳】