日本ハム杉浦稔大投手(27)が西武24回戦(帯広)で成長した姿を披露した。故郷で2年連続の先発マウンドに上がり、6回8安打4失点(自責2)。4敗目は喫したが、ヤクルトから移籍後最長イニングを投げ、失点は失策絡み。2戦続けて中6日の登板を続けたことも収穫だった。先発不足が深刻で、今季ワーストの借金4と沈むチームに一筋の光をもたらした。

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負けた悔しさもあるが、前に進めた実感もあった。「とりあえず1つ成長」。短い言葉だったが、杉浦が1つの壁を越えた。5回終了後のグラウンド整備が終わると、自信を持って6回のマウンドに向かった。

先頭の外崎に安打は許したが、後続は冷静に断った。特長の真っすぐの強さ、キレも健在。最後の対戦打者となった金子侑は146キロの直球で遊飛に打ち取った。88球を投げ終えると、故郷のファンからは温かい声援を受けた。

17年4月に右肩を痛めて以降は、5イニングが最長。「去年とは違う部分を見せられたと思う」。1年前も帯広で先発したが3回途中でKOされた。コンディションは万全にほど遠く、力強い真っすぐは鳴りをひそめていた。ただ、今季は違う。開幕直後から1軍で投げ続けてきた。首脳陣の配慮もあり、再発防止を最優先に慎重に登板機会を与えられてきたが、前回登板から中6日を解禁し、今回も中6日で試合を作れた。

両親やあさ美夫人ら親族が約20人駆けつけた前での快投は、チームにとっても希望の光だ。栗山監督は「内容的に意味があった」と評価した。先発陣は有原が1人奮闘する状況だが、杉浦が計算できる駒として台頭すれば、まだ巻き返すチャンスは出てくる。杉浦は「負けたことは変わらない。できれば勝ちたかった」と反省したが「今後はもっと長く投げられるように」と前を向いた。チームは苦しい戦いが続くが、杉浦のように1人1人の日々の成長が、次の扉を開く力となる。【木下大輔】

▽日本ハム木田投手チーフコーチ(6回を投げた杉浦に)「しっかりゲームを作ってくれた。前回と今回、中6日で投げられたのは、去年ずっとケガで苦しんできた中で良かった」