球団史上最強の2番打者でガッチリと単独3位をキープした。楽天島内宏明外野手(29)が8月31日の日本ハム戦で3打数2安打。球団の月間最多安打記録を38に更新した。5回無死二塁からは右前打で走者を三塁に進め、続く浅村の併殺打での先制点につなげた。リーグ2冠の日本ハム有原から奪った1点を守りきって、2連勝。勝負の9月に向けて弾みをつけた。

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「カッキーン!」。8月31日、午後1時半。楽天生命パークに乾いた金属音が響き渡っていた。高校野球の夏の予選はとっくに終わっている。島内はホームベースから少しだけ一塁側に寄った場所で、金属バットを気持ちよさそうに振り回していた。ロングティーではじき返した打球は、照りつける日差しをぶち抜いて右翼スタンドでポーンと跳ねた。「シーズンは長いんでね。楽しんで練習しないと。振り抜くイメージもほしかったですし」と屈託なく笑った。打球を飛ばす感触と重心移動を体に染みこませていた。

それから約6時間後。日はとっぷりと暮れ、満員の球場に応援歌が鳴り響く。5回無死二塁。「パキッ!」。乾いた木製の快音を残した。日本ハム有原の142キロ、ど真ん中に入ってきたシュートをためらいなく振り抜いた。ライナー性の打球は右翼の天然芝でポンと跳ねた。球団の月間最多安打を更新する37本目の安打で好機を広げ、先制点に結びつけた。7回にも左前打を放ち、月間38本まで記録を伸ばした。

楽しみながら結果を積み上げてきた。開幕後から4番に起用。「拷問としか思えない」と笑いながらも5月中旬まで中軸を担った。8月にも1日から5日までの5試合で4番起用されたが、以降は22試合連続で2番に固定。8月の打率は3割6分2厘と打ちまくった。つなぐ役割を任される中で「2番は難しいポジション。やりがいがある。4番と違って、右打ち、セーフティー、プッシュバントとかいろいろなサインが出る。そんなサインは出たことがない」と日々の新しい発見を純粋に楽しんでいる。

最初の「カッキーン!」から約8時間後の午後9時20分過ぎ。島内はお立ち台で「最高でーす!」と響かせた。8月の締めくくりは記録と絶叫。さぁ、勝負の9月がやってくる。【島根純】