阪神近本光司外野手(24)が今季37度目のマルチ安打で、16年に高山がマークした球団新人最多安打記録の136にあと1とした。

6回に武藤の外に逃げる球を中前にはじき返し、先頭打者の8回は石田から自慢の足で遊撃内野安打をもぎ取った。この打席を「初球からセフティー(バント)をしたり、どんな形でもいいと思っていた。あまりバッティング的には良くなかったですけど(バットを)内から出せたかなと思います」と振り返ったが、直後の自分のプレーを戒めた。

1点差に迫られており、少しでもリードを広げたい場面。しかし、続く福留の打席で一塁への帰塁が遅れた近本はプロ初のけん制死となり、ベンチのチャンスメークの思惑をフイにした。「自分の中で走るタイミングをうかがっていた。(アウトになり)チームにも迷惑をかけてしまいました」。苦い残像から悔しげな表情で述懐した。

ただ、積み重ねた135安打の事実は消えない。球団新人では98年坪井に並ぶ歴代2位の数字。DeNA打撃コーチを務める「先輩」の前で刻んだ。今回の遠征前には「1本でチームが勝つために2本、3本と打てるように」と語り、その意欲をしっかり形にした。サヨナラ負けとあって「今日は負けたので、気持ちを切り替えてやっていきます」と表情は最後まで晴れなかった。新人ながら1、2番で引っ張ってきたシーズンも残り19試合。逆転でのクライマックスシリーズ進出を懸け、近本は変わらぬ姿勢で戦い抜く。【真柴健】