「猛省ヒーロー」は静かに闘志を燃やした。阪神北條史也内野手が先制適時打を放ち、チームを勢いに乗せた。4回2死二、三塁。DeNA井納の2球目、真ん中低め144キロ直球を捉えた。打球は三塁手の筒香のグラブをかすめてレフト前へ。走者2人が生還すると、右拳を突き上げた。

「1打席目のチャンスで凡退してしまい、悔しい思いをしたので、その悔しさをぶつけていきました。すぐにやり返すことができて良かったです」

2回の第1打席は1死一、二塁のチャンスで4-6-3の併殺に倒れていた。悔しさと反省を胸に向かった打席でリベンジに成功した。声を張り、ベンチを盛り上げるムードメーカーが打線を波に乗せた。続く原口が左翼線二塁打でチャンス拡大し、投手の9番秋山も中前打で追加点を挙げるなど、打者一巡の猛攻で一気に4点を奪った。

ミス帳消し後も課題は残った。6回の三塁守備ではロペスのゴロを捕球するも一塁へ悪送球。直後に秋山が降板し、2番手島本が失策で出した走者を生還させて1点差にまで迫られた。再びバットで取り返したいところで、失敗を繰り返した。7回無死一塁で打席へ。送りバントのサインにもスリーバント失敗で走者を進められなかった。

打撃不振の大山に代わり、5試合連続でサードでスタメン出場中。地位を固める上でアピールが必要だった。もがき続ける背番号2は、同点の9回2死から三塁へセーフティーバントを決めて出塁。直後に代走を送られてベンチに退いたが、「猛省ヒーロー」が浮き沈みの激しいゲームで最後まで諦めない執念を見せた。【真柴健】