ヤクルト石川雅規投手が、控えめながらぐっと左手を握りしめた。

チームトップの7勝目で通算170勝に到達し、巨人戦は球団史上3人目の30勝目とダブルで節目を迎えた。「1人ではできない数字。家族の支えが一番ですし、使い続けてくれる監督やコーチ、トレーナー、チームメートにより一層感謝したい」と穏やかな表情で話した。

2-1で迎えた5回2死一塁、2安打の巨人坂本勇を迎えた。フルカウントからの6球目は、内角低め123キロのシンカー。坂本勇のバットは空を切り、石川は小さくガッツポーズ。6回を今季最多タイの103球で1失点にまとめた。巨人は、小さい頃に憧れていたチームで、対戦の際には「入団した当時から気持ちが入った」と振り返った。

投手陣の若手が初勝利を挙げると、名前と日付が文字盤の裏に刻まれている時計を贈るなど、節目を大切にする。この日はスタンドに観戦に訪れていた子どもの前で巨人戦30勝の節目を迎え「家族が来ている前で勝ててよかった」と父親の顔ものぞかせた。

大きな目標は、200勝の大台。「1つ1つ、積み重ねて200勝に近づきたい」とベテラン左腕は止まらない。【保坂恭子】

▼石川が通算170勝、巨人戦は通算30勝目を挙げた。巨人戦で30勝以上は14人目だが、石川は30勝27敗で勝ち越し。巨人戦30勝以上で勝ち越しは4人しかおらず、石川の勝率5割2分6厘は星野(中日)の5割3分に次ぐ高勝率。