奇跡のCS進出へ残った! 阪神が巨人との最終戦に快勝し、Aクラス入りに望みをつないだ。1敗もできない状況で、矢野燿大監督(50)が攻守で攻めの采配を連発し、G倒に成功。27日の広島-中日戦の結果次第だが、残り3試合に全勝すれば、CS進出が決まる。

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勝つために鬼になった。負ければCS進出が途絶える崖っぷちで矢野監督が非情に徹した。1点リードの4回2死一、二塁で先発青柳に打席が巡ってきた。ここまで無失点。しかも、悲願の今季2桁勝利をかけて実質的にラストチャンスのマウンドだった。だが、指揮官はベンチを飛び出す。代打原口-。勝利投手の権利を得る5回を待たずに降板させる。負けられない戦いで、情を挟まなかった。

「(青柳に)行かせてあげたい気持ちも十分にあった。青柳には申し訳ないですけど、ここで代打で勝負にいきたい。一番、いまの段階で優先すべきはもちろんチームの勝ち。俺も捕手やし、もちろん、青柳も2桁勝つチャンスがあるところで代えるのは俺自身も気持ちいいわけではない。でも、それでも仕方がない」

得点には結びつかなかったが、巨人との今季最終戦は意地を張り通した。11カ月前の誓いがある。新監督就任直後の昨年10月。巨人戦を「僕たちも伝統を受け継いで全力でぶつかっていきます。ジャイアンツは間違いなくライバル」と評した。だが、現実は厳しい。今季9勝15敗と負け越して対決を迎えていた。雪辱のラストゲームは攻守で攻めの采配だ。青柳を4回であきらめると、5回から先発要員のガルシアを投入。2イニング無失点に抑えた。岩崎からジョンソン、藤川への完封リレーを演じた。

前日23日、3位広島が中日に勝ち、逆転CSを目指す阪神は1敗もできない瀬戸際に追い込まれた。それでもナインはひるまない。1回は無死一塁で北條が左前に運ぶバスターエンドランに成功。先制点をもぎ取った。6回も糸原の適時打で加点した直後、中谷が犠打。徹底的に走者を得点圏へと送り、得点を奪った。勝負勘がさえて3連勝だ。

DeNAが勝ち、今季の3位以下が確定した。27日の広島対中日戦でカープが勝てば試合のない阪神のレギュラーシーズン敗退が決まる。それでも、満員の甲子園で執念の白星をつかんだ。矢野監督は「もう、一戦必勝しかない。それを1試合1試合、何とかつなげて最後までいけるように頑張ります」。残り3試合。矢野阪神は人事を尽くして天命を待つ。【酒井俊作】