ラミちゃんが、秘策を仕掛ける。DeNA初の本拠地開催クライマックスシリーズ(CS)が、5日に開幕する。横浜スタジアムに3位阪神を迎えるファーストステージ。石田健大投手(26)が、初戦の先発に立つ可能性が急浮上したことが3日までに分かった。シーズン最終戦に先発した今永昇太投手(26)が、中6日で回るとみられていたが、エースは「ジョーカー」として待機する。

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CS初戦のDeNA先発マウンドには、石田健大投手が上がるようだ。2日に行われた三菱日立パワーシステムズとの練習試合(横浜)で、2イニングを無失点に抑えた左腕。中2日で、大役を全うする。

今季は中継ぎ→先発→中継ぎ→先発→中継ぎと、幾度もタフネスさを証明してきた選手会長。横浜スタジアムで行われた3日の指名投手練習には自主的に参加したと言い「総力戦になると思いますし、長いイニングを投げないといけない場面も出てくると思います。しっかり準備して、ワンポイントだろうが、1イニングだろうが、そうじゃなくても自分の球を投げきれればいいかなと思ってます」と意気込みを口にした。

今永が初戦に先発するとみられていたが、エースは「ジョーカー」となる。2勝すれば巨人が待つファイナルステージへの切符をつかめる超・短期決戦。勝敗の状況によって、今永が第2、3戦の先発をこなす可能性もあり得る。同時に“第2先発”として、試合途中からマウンドに上がるケースも考えられる。

17年、広島とのCSファイナル第4戦で7回からリリーフ。2回を完璧に封じ日本シリーズ進出へ王手をかけた。ショートイニングでリミッターを外し、相手を封じて流れを引っ張り込む力業も可能だ。45歳の誕生日を迎えたラミレス監督は、CSに向けて「強く戦い抜く、ということだけを考えてベストを尽くしたい」。覚醒したエースを懐に忍ばせ、ここぞの場面で投入するつもりだ。

層も分厚くする。2軍から浜口、ドラフト3位ルーキー大貫、バリオスの3先発投手が合流予定。試合状況によって第2先発、第3先発として惜しげもなくつぎ込む。阪神には今季8勝16敗1分けと、6年連続で負け越した。だが、DeNAは本拠地で43勝27敗1分けと無類の強さを誇る。先陣を切る石田、そしてジョーカー今永を軸に、虎退治を敢行する。

<ラミレス監督の短期采配>

「短期決戦では、誰も想像できない采配を振るうことが大事」のポリシーがあり、レギュラーシーズンと同等かそれ以上に積極的な手を打ち、試合を動かそうとする。

真骨頂はシーズン3位から日本シリーズまで突き進んだ17年。阪神とのCSファーストステージ初戦を落とすと、梶谷を2番に据えるなど攻撃色を前面に出して打線を組み替え。7回に送った代打乙坂の3ランで突き放して雨中の死闘を制し、逆転でファイナルステージに進んだ。敵地での広島戦では一転、防御の比重を高め、先発、中継ぎの持ち場を撤廃。回またぎ、1人1殺を織り交ぜる複雑な継投で広島打線を封じた。日本シリーズの監督会議では、工藤監督が提案した予告先発の採用を断固拒否。第6戦では、シーズン先発10試合の白崎を指名打者に抜てきした。白崎は同点本塁打で応えるなど最後までソフトバンクを苦しめた。