海外フリーエージェント(FA)権を保有する日本ハム金子弌大投手(35)が19日、札幌市内のホテルで会見を行い、権利を行使せず残留することを表明した。

1年契約で現状維持の年俸1億8000万円プラス出来高で合意した。移籍1年目はさまざまな役回りをこなしたが、来季も投げるポジションにこだわりはない。経験したことがないリーグ優勝、日本一へ向けて、個を捨て、チームの勝利のために右腕を振るう覚悟を示した。

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金子に残留以外の選択肢はなかった。頭の中は、来季の捲土(けんど)重来でいっぱいだ。「GMの方から来季についての話があるとされた時に初めてFA選手なんだと思い出した。やっぱり結果が全て。納得できる結果を今年残せていないので、そこまで頭が回らなかった」。移籍1年目は26試合登板で8勝7敗2ホールド、防御率3・04。数々の投手タイトルを獲得してきた右腕にとって、残した数字は物足りなかった。

温かく迎えてくれた日本ハム、北海道で優勝するという思いしか、ない。「昨年、オリックスを自由契約になった時に一番に声をかけていただいてファイターズの一員にさせていただいたけど、思うような結果を残すことができず、ファンのみなさん、球団の期待に応えることができなかった。来季、結果で応えたい」。残留を決断した理由は、シンプルで、熱かった。

来季も、ポジションにこだわりはない。今季は先発だけでなく、ショートスターターや第2先発、中継ぎなどフル回転した。故障者の穴を埋めるべく、いろんな役回りでカバーした部分を球団側も評価した。金子も「どこで投げろと言われても、投げられる状態にしておきたい。自分の結果は二の次。チームが勝つことを第一に考えて、最後に優勝という結果につながれば」と覚悟も十分だ。

16年目へ向けて、まずは体づくりを見直す。今後は1度渡米し、自主トレを行うプランを温めている。「いつも投げることを考えてのトレーニングになってしまう。それを外して、しっかり体を作る」。今季は特に前半戦は苦しんだだけに、シーズンを通してチームに貢献するための肉体改造に挑む。「目の前の1試合をしっかり戦う。その気持ちを忘れずに、来季は開幕から頑張っていきたいと思います」。20年は納得の結果を残して、見たことのない景色を見るつもりだ。【木下大輔】(金額は推定)

○…会見の冒頭で、金子は台風19号による被害について触れた。「先日の台風等で被害に遭われた方の1日も早い復興、元気になる姿を望んでおりますので、頑張ってほしいなと思っております」。生まれ育った新潟、長野は河川の氾濫による浸水など大きな被害を受けた。「千曲川や信濃川は本当に聞き慣れたフレーズ。それが北海道で聞こえてくると…台風で聞きたくなかったなという複雑な思いはあります」と率直な心境を明かした。