“三木流”の秋が始まった。新任の楽天三木肇監督(42)が30日、岡山・倉敷での秋季キャンプ初日最初の練習メニューで「ケース打撃」を行った。

同キャンプでは通例技術、体力強化が重視されるが、サイン確認、チームプレー徹底を意図する実戦に近い練習を選択。今季、球団初のイースタン・リーグ優勝を果たした2軍監督時代のやり方を継続し「打つだけ、守りだけ、ランナーだけでもない。いろんな野球ができるようにしたい」と方向性を示した。

キャッチボール後の午前11時過ぎ、選手を攻守に分けた。「ノーアウトランナー一、二塁!送りバント!」と指揮官の声が飛ぶ。あらゆる状況が記された紙に目を通しながら、場面設定を施した。進塁打、バスターエンドラン、偽装スクイズ…。四球を選ぶケースでボール球を打った打者に打ち直しを命じるなど約1時間、細部にこだわった。「プレーするのは選手」と個々を尊重しつつ「チームの決まりごともある。徹底していろいろ考えてやってもらいたい」と組織の一員としての自覚も求めた。

選手も目的を理解する。選手会長の岡島が「やらなきゃいけないこと。意識も変わってくる」と言えば、オコエも「来年の春を見据えてチームプレーを徹底したい」と口をそろえた。

3位となった今季、1点差ゲームは16勝26敗。リーグ最多の“借金10”を数えた。三木監督は「練習することで課題も出る。もっと精度を上げていきたい」と成長に期待を込めた。スモールを極めて、ビッグな栄冠をつかみとる。【桑原幹久】