矢野阪神2年目の秋季キャンプが10月31日、高知・安芸で始まった。同日、三井ゴールデン・グラブ賞が発表され、セ・リーグ捕手部門で梅野隆太郎捕手(28)の2年連続受賞が決定。球団初の3年連続受賞で伝説の田淵幸一を超え、チームを日本一に導く捕手を目指す意気込みを明かした。

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矢野阪神2年目の秋季キャンプ初日。安芸のブルペンに梅野の声が響いたかと思えば、今度はメイングラウンドでフリー打撃。守って打って、精力的に取り組む鍛錬の秋が始まった。

ブルペンでは望月の投球を受けながら細かく、時には厳しく声を掛けた。フリー打撃では、111スイングで7本の柵越えをマーク。新任の井上打撃コーチからも、熱心にティー打撃の指導を受けた。日差しの強い朝から真っ暗になった夕方まで、休まず汗を流し続けた。

「賞が全てではないので、もっともっとレベルアップ出来るように、頑張っていくだけです」。

輝く栄誉にも気を緩めるそぶりはない。キャンプインのこの日、三井ゴールデン・グラブ賞が発表され、捕手部門で2年連続2度目の受賞を果たした。阪神での連続受賞は同じ捕手の田淵幸一が73~74年にマークして以来、実に45年ぶり2人目だった。「続けて取ることに意味があると思っていたので、本当にうれしい。3年連続を目指して、追い越せという気持ちを常に持って、また臨みたいと思います」。球団初の3年連続受賞へ、貪欲に“田淵超え”を誓った。

今季は正捕手として129試合に出場。ショートバウンドの空振り三振は体を張って止めるなど、積み重ねた123補殺は、プロ野球記録を65年ぶりに塗り替えた。それでもまだ、足りないものがある。「やっぱりリーグ優勝、日本一、そういうチーム成績がついてのゴールデングラブ賞はまたひと味違うと思う。そこを目指して、また受賞できるように頑張りたいなと思います」。リーグ3位では満足できない。目指すは日本一のキャッチャーだ。

今年は巨人の胴上げの瞬間をテレビで目に焼き付け、日本シリーズも見た。パ・リーグ捕手部門で受賞したソフトバンク甲斐は、日本一の歓喜を味わった。「日本シリーズを見て感じるものは、ここ苦しいだろうなとか、共感できるものがすごくあった」。チームは05年を最後に、14年間リーグ優勝から遠ざかる。来年こそは自分がその舞台に立つ。優勝につながる実りの秋にする。【磯綾乃】

◆阪神選手のゴールデン・グラブ賞 これまでに27人が計61度受賞。ポジション別では外野手の7人、19度がともに最多。個人の受賞回数最多は新庄剛志7度で、2位も赤星憲広6度と、外野手が上位を占めている。なお投手が選ばれたのは、今季の西が球団初となった。