お助け丸だ! 侍ジャパンは秋山翔吾外野手(31=西武)が右足薬指骨折でプレミア12の出場を辞退し、丸佳浩外野手(30=巨人)を追加招集したと1日、発表した。1番中堅の根幹を失う中、17、18年のセ・リーグMVPのスラッガーを約3年ぶりに代表に呼んだ。丸は2日に1次ラウンドの開催地、台湾へ移動する本隊に合流する。大会前、最後の実戦となる強化試合カナダ戦(沖縄セルラー那覇)は3-0で勝利した。

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突然の一報だった。秋山の右足薬指骨折から一夜明け、代表に呼ばれたのは丸だった。川崎市のジャイアンツ球場で巨人の秋季練習に参加し「びっくりした方が強い。秋山さんも体の強い方なので、死球で途中交代したのは知っていたけど、そこまで大きなケガになっているとは知らなかった」。17、18年リーグMVPだが、稲葉ジャパンに加わることはなかった。だが16年3月の台湾戦以来の侍合流にも「そんなに迷いはなかった」と意気に応じた。

中堅手は秋山で固めていた。他にチームで正中堅手の選手がおらず、10月31日カナダ戦は近藤が途中から守った。世界一を狙うプレミア12を正中堅手不在では戦えない。丸は最適の「ピンチヒッター」と言える。

秋山の離脱は痛恨だが、丸加入で広がる選択肢もある。メジャー挑戦を表明した秋山は来年8月のオリンピック(五輪)出場が難しい。丸が国際大会で力を発揮すれば、今回は未招集のソフトバンク柳田とともに有力な候補。今大会に向けても打線の組み合わせが豊潤に。広島3連覇の超強力上位打線だった2番菊池涼、3番丸、4番鈴木を代表でも再結成できる。さらに今季巨人のリーグ優勝の原動力となった2番坂本勇、3番丸の並びも可能になった。

稲葉監督は必死に前を向いた。秋山がチームを離れる前に参加したミーティングで、選手に呼び掛けた。「一番悔しいのは翔吾。世界一になってシャンパンファイトに来て一緒に喜べるように頑張りましょう」。最終実戦のカナダ戦では秋山のユニホームを飾った。辞退、離脱続きのチームを救う存在がほしい。「(丸も)ジャパンの思いは非常に強い。台湾から合流してもらうが、1日も早くチームに溶け込んでもらって、丸選手らしくやってくれれば」。お助け丸で、大団円を迎える。【広重竜太郎】